今週のおすすめ本


ブック名 ドロシーおばさんの「大事なことに気づく」

著者 加藤諦三(詩)ドロシー・ロー・ノルト
(訳)石井千春
発行元 扶桑社 価格 1200円
チャプタ
ドロシー・ロー・ノルトの詩
@自分に正直になったとき、大事なことに気づく
A本気で何かをしているとき、大事なことに気づく
B捨ててもいいと思ったとき、大事なことに気づく
C変ってもいいと思ったとき、大事なことに気づく
D少し待とうと思ったとき、大事なことに気づく
E人に頼るのをやめたとき、大事なことに気づく
F思いがけないところで、大事なことに気づく
G思いがけない時に、大事なことに気づく
Hじっと見つめたとき、大事なことに気づく
Iじっと聞いたとき、大事なことに気づく
J新しい人に出会ったとき、大事なことに気づく
K人を責めるのをやめたとき、大事なことに気づく
L失敗し、失望したとき、大事なことに気づく
M違う道を選んだとき、大事なことに気づく
N大事なことに気づくのは、難しいことじゃない
Oいつも心を開いていたい。いつも耳を澄ましていたい
そうすればあなたは気づくあなたは出会う本当の自分に

キーワード 正直、ナルシズム、自己執着、本気、待つ、捨てる
本の帯(またはカバー裏)
たった20行の詩があなたの人生を変える!
人生は、ときには行き止まりにぶつかることもあるでしょう。間違った道を選んでしまうことも あるでしょう。けれども私たちは、いつも出直すことができるのです。 新しい道を見つけ、やり直すことができるのです。

気になるワード
・フレーズ

・あなたが幸せになるためには、「大事なこと」が何なのかに気づくことです。人生で恐ろしいのは、 「大事なこと」に気づかないこと、自分にとって「大事なこと」は何かを間違えることです。
・人間は憎しみにとらわれると、大事なことに気づかないのです。憎しみがあると、今の幸せに 気づかないのです。
・「自分に正直」とは、逃げないで物事を正面から見つめ、解決することです。不快な気持ちを ごまかさないことです。

・立派な人間などにはなろうとしてなれるものではありません。幸せと同じように結果として 手に入れるものです。自分に与えられたことを一つ一つこなしていけば、立派な人間になろうと しなくてもなれるものです。
・自分に正直な人は、@自分に目的がある。Aだから生きるエネルギーがある。 B失敗から立ち直る。C達成感がある。D自分の人生に後悔しない。
・好きなことをしているときに人はリラックスしています。人の目は気にしていません。 それに没頭しています。人が自分をどう思うだろうかなどという余計なことは考えていません。

・「ほめられたい、好かれたいという脅迫的な欲求」があなたの本来の力を発揮させなくしているのです。
・自分が持つ多くの可能性を実現している人は、一人で何かを楽しむことができます。
・今の世の中では、多くの人々が自分が描いたひとりよがりの「理想の自分」を演ずることばかりに 気を取られて、実際の自分を見失っていると言えるでしょう。「自分とは何か?」を考える より先に、自分はどう見られたいかを考えているのです。

・フロムはネクロフイラス(死を愛する傾向)とナルシズムと近親相姦願望(母なるもの)の三つ 合わせて「衰退の症候群」と呼んでいますが、このところ日本には「衰退の症候群」が見える 事件が相次いでいます。
・近親相姦願望の強い人は変化を恐れます。いつまでも慣れた世界にい続けようとします。
・人でも花でも、愛情を注いで成長を待つことです。「待つ」ということは、同時に 「手入れを怠らない」という行為が必要なのです。

・人に頼るのをやめたら、相手の思いやりや愛情、友情ということがわかってくる。
・恥ずかしがり屋の人は、四つの社会的恐怖を持つとジンバルドーは言います。 失敗することの恐怖、人から低く評価されることへの恐怖、 他人から拒絶されることへの恐怖、親しくなることへの恐怖です。
・いろいろなことに執着しないで、ひたすら努力することです。執着しなくなったときに、 思いがけない成果を体験できるのです。

・悩んでいる人は、まず人の話を聞いていません。何かにとらわれている人は、人の話を聞いていません。
・だいたい傷つきやすい人は、じっと相手の言うことを聞いていません。
・自分が変らないかぎり、新しい出会いはありません。また新しい出会いがないかぎりあなたは 変りません。新しい出会いと成長は好循環をしていきます。

・新しい世界は外にあるのではありません。自分の心の内にあるのです。
・悩んでいる人は皆、「閉ざされた心」の持主です。本当に恐ろしいほど、人のすることに気がつき ません。あるいは自分のしていることに気がつかないのです。
・自分の弱みを隠すために相手を責めます。自分の幼児性を隠すために人を責める。

かってに感想
この厚さで、この値段の単行本は、最近ない。
そして、私の好きなテーマ「こころ」の問題を取り上げている。
「はしがき」を読んで、最初のチャプタを読んでいても非常に読みやすい、 ということで買い求めたのだ。

読みながら、自分の中に潜んでいる「ナルシスト」ぶりが炙り出されてくるようでもある。
大事なことに気づかない、気づけないキーワードがある。
一方で、そのキーワードを解きほぐし、大事なことに気づくための「キーワード」がある。

まずは、大事なことに気づかないキーワードをあげてみよう。
自己執着、自己陶酔、閉ざされた心、神経症者、憎しみ、大袈裟な、誉められたい・好かれたい、 自分がどう見られているか、人に頼る、過度の謙遜、人を責める、悩んでいる人、焦り、近親相姦願望。

次に、大事なことに気づくための「キーワード」は、正直、本気、自分を飾る気持ちを捨てる、 待つ、好きなこと、人の目を気にしない等、である。
この大事なことに気づかない「キーワード」が、自分の中にあると気づけば、新しい道は見えてくる。
それが第一歩のような気がする。

人生を変えたいと思っている人は、まずは読んで自分の悪さ加減を直したいと思うことのようだ。
そして、自分に正直になり、本気で何かに取り組み、捨ててもいいと思い、少し待ってみようかと思い、 人に頼るのをやめ、人の話を聞き、新しい出会いを求め、.....。ちょっとした変化の行動を あなた自身が決断する。
やがて、「あなたは気づくあなたは出会う本当の自分に」ということになるのだ。

各チャプタには、よりわかりやすくするために、童話の桃太郎、 イソップ物語の猪と馬と狩人・ライオンと牡牛、「戦争と平和」におけるロシアの将軍等の 話を取り入れている。
私たちが、「大事なこと」に気づかないのは、 人生を変えるための一番の障害は、何と言っても「ナルシズム」ということらしい。

この「ナルシスト」ぶりの基準・判断基準なるものが最後のチャプタに載っている。
以下、そのままあげてみよう。
いつも自分は他人にどのように映っているかを考えている。自分は他人にどのような印象を 与えているかを気にしている。

人から笑われちょっと注意をされると、すぐに傷つく。
自分のことをよく話す。自分のした経験、自分の感情、自分のアイデアについて、よく話をする。
とにかく注目の的になることが好きである。

「私は特別な人間である」と思っている。
他人にいろいろと期待する。
人の幸運が羨ましい。私が値するもの全てを得なければ満足できない。

いかがだろう。思い当たるふしがあるだろうか。
「おわりに」では、「どんなとき大事なことを忘れるのでしょうか」というのがある。
棚からボタ餅式の出世をしたとき、泡銭のように財産が入ったとき、

思わぬ幸運があったとき、人と競い出したとき、派閥争いを始めたとき、いい気になったとき、 ということらしい。
さいわい私の場合、出世もせず、財産もいただかず、競うこともなく、 派閥もなく、また思わぬ幸運もなし、しいてあげれば時々「いい気」になったことがあったかもし れないということだけである。

いずれにしても、50代になって、これからの人生をどうしようかなんて、考えている人。
過去の自分、現在の自分を反省して、「本当の自分」探しをやってみたい人は一読 の価値は十分にあります。

<読み感記録>
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