今週のおすすめ本


ブック名 自分の中に毒を持て
(副題)あなたは常識人間を捨てられるか
著者 岡本太郎
発行元 青春文庫 価格 500円
チャプタ
①意外な発想を持たないとあなたの価値は出ない
楽しくて楽しくてしょうがない自分のとらえ方
②個性は出し方薬になるか毒になるか
他人と同じに生きてると自己嫌悪に陥るだけ
③相手の中から引き出す自分それが愛
本当の相手をつかむ愛しかた愛されかた
④あなたは常識人間を捨てられるか
いつも興奮と喜びに満ちた自分になる

キーワード 失敗、危険、無条件、無目的、他人の目、他と比べるな、未熟、爆発
本の帯(またはカバー裏)
みんなどうしても、安全な道の方を採りたがるものだけど、それがだめなんだ。
人間、自分を大切にして、安全を望むんだったら、何も出来なくなってしまう。

気になるワード
・フレーズ

・ほとんどの人はこの危険に賭けようとはしない。それは、いままでにこの危険に賭けて失敗した 人がいたり、また危険に賭けない方がいいというムードが日本人全体にあるからだ。 このムードに従って、みんな自分の分限を心得てしまい、消極的にしか生きていない。 ただマメに働いて質よりも量で自分の働きの価値づけをしようとしているようなところがある。
・何か、これと思ったら、まず、他人の目を気にしないことだ。また、他人の目ばかりでなく、 自分の目を気にしないで、萎縮せずありのままに生きていけばいい。...だめならだめ人間で いいと思って、だめなりに自由に、制約を受けないで生きていく。
・情熱というものは、”何を”なんて条件つきで出てくるもんじゃない。無条件なんだ。 何かすごい決定的なことをやらなきゃ、なんて思わないで、そんなに力まずに、チッポケなことで いいから、心の動く方向にまっすぐに行くのだ。失敗してもいいから。

・何かをはじめても、続かないんじゃないか、三日坊主に終わってしまうんじゃないか、 なんて余計な心配はしなくていい。気まぐれでも、何でもかまわない。ふと惹かれるものがあったら、 計画性を考えないで、パッと、何でもいいから、自分のやりたいことに手を出してみるといい。
・ぼくは逆の発想をしてみることをすすめる。自分はだめな人間なんだとか、こうやったらきっと だめになるだろう、それならそのマイナスの方に賭けてみるんだ。つまり、自分でだめだろう と思うことをやってみること。
・そもそも自分を他と比べるから、自信などというものが、問題になってくるのだ。わが人生、 他と比較して自分をきめるなどというような卑しいことはやらない。

・繰り返していう。うまくいくとか。いかないとか、そんなことはどうでもいいんだ。 結果とは関係ない。めげるような人は、自分の運命を真剣に賭けなかったからだ。
・ほんとうに生きるということは、いつも自分は未熟なんだという前提のもとに 平気で生きることだ。
・自己嫌悪なんて、いい加減のところで自分を甘やかしていないで、もっと徹底的に自分と 闘ってみよう。

・才能のあるなしにかかわらず、自分として純粋に生きることが、人間の本当の生き方だ。 頭がいいとか、体がいいとか、また才能があるなんてことは逆に生きていく上で、マイナスを 背負うことだと思った方がいいくらいだ。
・若い人たちに言いたい。ただなまぬるいサラリーマンになることは,容易だ。しかし、 そこでほんとうの自分をごまかして、画一化するよりほかはないのだ。それよりも、自分の目、 手でふれる、だからこそ危険な道をきりひらいて、行くべきだ。決して遅くはない。
・男なんて信用してはいけない。彼らはゴマかすし、嘘をつく。妥協しない男なんて、ほとんど 見たことがない。自分をだまし、なだめているうちに、本当のことがわからなくなってしまうのだ。

・年季の入った芸や特殊な技ではない。まったく素人の下手なのが平気で作ったものに、 「手づくり」の本当のよろこび、人間的なふくらみがあるはずだ。
・その人は祭りの当日より、実はみんなで知恵と労力と情熱を持ちより、苦労して手さぐりで 準備しているとき、作りあげていく過程が本当に生きがいだったと眼を輝かせて話していた。
・人間が社会で生きていくには、職業を持つことはノーマルなんだから。しかし、そのために 全人間として生きないで、職業だけにとじこめられてしまうと、結局は社会システム の部品になってしまう。それがいけない、つまらないことだ。ぼくの言う三権分立の 「人間」=「芸術」が抜けてしまう。現代社会の一番困った、不幸なポイントだ。

かってに感想
「岡本太郎」という名で思い出すのは、1970年の大阪万博EXPOでの「太陽の塔」と 「芸術は爆発」という言葉である。
30年以上も前、団塊世代が青春時代の真っ只中の頃、著者はよくテレビに出ていた。
それも、目をランランと輝かせて、「芸術は爆発だ」と言っていたのを特に思い出す。

原色で現代抽象画を描いていた。
見ていてもよくわからなかったが、
とにかく元気が出てくる絵だったように思う。

この本の中にも、その抽象画が挿し絵として、そして彼のメッセージが添えられている。
このメッセージを読んでも、彼の内から出てくる生の自分の情熱・爆発の表現なのだ。
今風に言うなら、なぜあんなにエネルギッシュだったのか、それはこの本を読めば分かると いうものだ。

この本は、彼の人間として生きる原点がある。
それは、現代人というか文明人が忘れかけているものである。
そして、副題にもあるように「常識人間」を捨てられるか、なのだ。

この本の最初は、「自分の大間違い」という見出しで、「人生は積み重ねだと 誰でも思っているようだ。僕は逆に。積みへらすべきだと思う。 財産も知識も蓄えれば蓄えるほど、かえって自在さを失ってしまう」
というフレーズで始まる。
これが自由な人間であり続けたい作者の心の中のすべてであるような気がする。

情報化社会とか管理社会と言われて久しい。
組織に縛られ、他人の目を意識しすぎ、失敗しないように安全に、他人と比較しながら、 常に条件を気にしながら、さらに目的を持って生きてきた。
それは、人間がほんとうの自分を出しきって生きているというのにはほど遠いということなのだ。

彼に言わせるならば、失敗なんて気にしないで危険を求めて、他人の目も自分の目も気にしないで、 無条件に無目的に生きてみよということなのである。
思うに、当時の目をおもいっきり前に突き出して、「芸術は爆発」だと言っていた、筆者からは この極めて哲学的な「人生論」は想像できなかった。
読んで行くに従い、私自身が自分の中にある自分とは違う生き方をしていることに気づかされる本だった。

裏返せば、他人の目を気にしながら、失敗を恐れて危険を冒さず生きてきた、自分がそこにはいる。
私は当時の爆発という言葉を誤解していた。「音もしない。物も飛び散らない。全身全霊が宇宙に 向かって無条件にパーッとひらくこと」ということのなのだ。
私がこの本からもらったことは、そのときどきを、過去にとらわれずほんとうにやりたいことを他人の目と 失敗を恐れずにチャレンジするということだ。

終わりに、この本は、「爆発せよ」という若者に向けたメッセージで一杯のものである。
でも思うに、長年働き続け、組織に埋没してきた団塊世代にとって、ふと「自分は何のために働いて きたのだろう」という思いに至っているあなたにとって、
きっと何か方向を指し示してくれる本に違いないと思う、是非一読して。「毒」を持って欲しいものだ。

<読み感記録>
★感想記録14 ★感想記録15 ★感想記録16 ★感想記録17

★感想記録18 ★感想記録19 ★感想記録20 ★感想記録21

★感想記録22 ★感想記録23 ★感想記録24 ★感想記録25

★感想記録26 ★感想記録27 ★感想記録28 ★感想記録29

★感想記録30 ★感想記録31 ★感想記録32 ★感想記録33

・メニューへもどる