今週のおすすめ本


ブック名 夫とふたりきり!
(副題)定年夫婦の生き方・暮らし方
これはもう恐怖です
著者 中村メイコ
発行元 青春出版社 価格 1470円
チャプタ
①夫はかわいくない
②夫育てもラクじゃない
③しみじみ感じる「老い」
④孫とのつき合い
⑤老後は「カーテンコール」

キーワード 老い、性、家族の立場、思いやり、孫
本の帯
なし
気になるワード
・フレーズ

・「あなたがキムタクみたいな顔をしていて、プロ野球選手ぐらいお金が稼げて、 ハリソン・フォードみたいな渋さがあったらどんなにいいかしら」 「バカ言っちゃいけない。オレだって思ってるぞ。おまえの顔が吉永小百合で、 体が藤原紀香で、心がマザー・テレサだったらどんなにいいだろう」
・日ごろの不安、不満、怒り、寂しさ、切なさのすべてをさらけだし、自戒の念をこめつつ、 人生二度目の、えっ、あなたとふたりきりでのよりよいすごし方の「処方箋」を自分なりに 書きつづってみた。
・善之介は、・・・塾のことやら現代の受験事情などを聞くのがおもしろかった。カンナが 家にいたころは、毎日彼女が新しい話題をじゃんじゃか家に持ち込んでくる。次女のはづきも 次々におもしろい話を披露するし、家の中は笑いがたえなかったのだ。

・世の夫というものは、セクシャルなことも含めて老妻が女であることに気づいていない。 年をとったら、とったなりの女がいるのに、それに対する気遣いがなさすぎる。これがこの国の おばあさんを色褪せさせてしまっている。
・いま、日本のオジサンたちに何が欠けているかといったら、自分の専門を持たず、そのために 自分語で話せなくなってしまった点ではないだろうか。
・「妻の骨は分骨して神津家の墓にも入れたほうがいい、という方もいます。でも分骨ったって、 妻のどこの骨がくるかわからない。あの人の口元やら喉の部分がきたらどうなるか。 それが怖い、お墓に入ってまで、ずーっとしゃべり続けられたら、ぼくはかなわない」

・だいたいこの国は親族に気を遣いすぎる。子どもたちもすでに自立しているのだ。 子どもの側も親への義務感から顔を出すことはない。自立した者同士は、いい意味で核家族に 徹したほうがいい。
・お金はたまらなかったけれど、歳をとったらあまりお金を使うこともなくなる。人間、体力 と気力の充実しているうちにお金を使って中途半端に広く浅くいろいろなことを楽しんだほうがいい。
・どうして男は自分の城にこだわるのか。清潔なトイレットと陽の差すリビングと、こじんまり したキッチンと寝室があればそれでいいではないか。

かってに感想
二年前発行の単行本、いわゆるタレント本に分類されていた。
私の場合、タレント本は誰が書いたか分からないという先入観から、まずそのコーナーに 行くことがない。
行くことがないから、買うことがない。

たまたま、家人と一緒に本屋へ寄り道した。
家人が面白いというので、買ってみた。
夫とふたりきり!という題の!が気にかかる。副題の「これはもう恐怖です」はさらに気にかかる。

思うに、まんまと家人の術中にはまったかもしれない。
密かに、「夫育て」を目論んでいるのかもしれない。
まあ、夏にはいい恐怖の世界だと思って、入ってみようかな・・・。
まずは、主人公の夫、ここでいう神津ダンナの場合、家事を何もしないで過ごしてきたようだ。

いささかこのあたりは、私と事情が違うが、すこし比較してみよう。
冷蔵庫の収納、私の場合、それなりに単身寮で使用している。もっとも量が極端に少ない。
だから、帰宅して、我が家の量の多い冷蔵庫を開いてもどこに何があるのか、すぐ取り出せない。

すると「さっさと出して、早く閉めて」なんて声が飛ぶ。
「電子レンジが使えるように」、私の場合、寮では電子レンジもなしで、6年間過ごしたから、 えらそうなことはいえない。
我が家の電子レンジもあまり使わなかったので、そのたびに家人にご指導いただいたものだ。
この本には、老いた夫婦の暮らし方のヒントというか、どんなポイントについて考えて おいた方がいいかというものがいくつかある。

気になるところは、寝室をどうするかということ、日中のそれぞれの居場所、旅での同一行動、三度の食事。
よく考えて見ると、若い頃、元気な頃はさほどなんでもなかったことが、老いとともに負担に 感じてくるのはいたしかたがない。夫には定年はあっても家事に定年はないのである。
ここに夫婦のギャップが生じ、老後は妻にとって苦痛とならないように、夫として考えたいものである。 ということで、見事に家人の術中にはまったようである。

第5章「老後はカーテンコール」の見出しには、いろいろ気になる世代の言葉が多い。
「女房より先に死ぬ」願望、夫はどうして自分の城にこだわるのか、気がついたら手遅れでありたい、 なんてのがある、いかがだろう。
前半は、いままでの夫婦生活での、不安、不満、怒り、寂しさ、切なさを、夫をネタにうまく 吐露している。

後半は、孫が老いていく夫婦の緩和材であるということ、そしてどうみても旦那とのお惚気のように思える。
だから、読み物としては、「夫はかわいくない」「夫育てもラクじゃない」の辛口表現のチャプタ のほうが面白い。


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