今週のおすすめ本


ブック名 あなたは老後,誰と,どこで暮らしますか
著者 佐橋慶女編
発行元 文春文庫 価格 530円
チャプタ 196編エッセー
キーワード 老後,その相手,住むところ
本の帯 高齢社会のいま,自分の人生をみつめ直してみませんか?
原稿一枚に込められた196人の生き方の設計
気になるワード
・フレーズ

・仕事ひと筋に会社にしか目が向いてなかった夫族は,定年を機に,ぼそっと家に戻ってくるのですから,家庭は居心地の悪いものです。妻と二人でやっていこうと決意を言葉と態度を素直に表わせないもどかしさがあります。ところが妻はすでに自立し,自分の生き方を確立し,その最中です。ここに夫と妻に大きなギャップがあります。
・家賃の安い長屋でいいから,みんなで住んで楽しく生きようではないか。
・妻から自立して家事能力をつける。妻の手を借りずに生活できること。次に子供たちから自立し子供に干渉しない自分を作る。
・夫の恋は3年ほどで終ったが,私と子供たちがそれから解放されるには,15年の歳月を要した。老後は生れ育った東京にワンルームマンションを購入し,一人暮らしをしてみたい。
・独居老人への食事の提供の中で,男性の食生活の悲惨さ目撃。男性自立の最大不可欠な条件は食にありと痛感。
・老後と言っても長さは人それぞれで自分自身のこともわかりません。子供に頼る時代は終ったと言われています。
・結婚何十年と経つと,空気の様な存在とか世間では言われておりますが,男・老人は決して空気の様に軽いものでは無いと,我が連れ合いに限っては言えます。
・キャリアウーマンで働く彼女ら・・・皆,口を揃えて言うことは,亭主とは,「もう」と言うのが本音です。
・夫婦二人だけの家で,自分のことだけは自分で出来る夫には家政婦も不要。
・無論,私をさんざん悩ませた夫とは,きれいさっぱりと別れて,日本を飛び立ちたい。
・世間では退職後の夫を,濡れ落ち葉とか粗大ゴミとかいろいろ言っているが,主人にそうなる要素は全くない。家事は主婦に負けぬ自信がありまた苦にもならないという。
・「おじいさんの台所」「おじいさんの台所2年目」『「おじいさんの台所」の死』・・・一人暮しとか,これから自立しようという男性に是非読んでいただきたいテーマです。
・一人暮らしも気楽なものです。生きている限り生き活きと,自分らしく人間らしく,誇らしく生きていけます。それと自分に責任をもつこと。「まあいいや,明日にしよう一人だから・・・」と自分を甘やかすと,どんどん一人暮らしはだらしなくなります。

かってに感想 お国の老人医療の恩恵を受けられるのは70才から。といっても自分がそこまで生きられるかどうかはわからない。
ほとんど病気というものを体験していないから,体験すると重いものになりそうなことだけは予感できる。
この文庫本には,60才前後を中心にそれぞれが夢と現実のはざまでのメッセージを発信している。
編者のネットワークが募集,応募総数千通足らず,男性三割弱。この本への,掲載エッセー数200弱。
読みながら,女性の力強さだけが目立つ。どの生き方を参考にするかは,それぞれの配偶者やその仕事,子供とその仕事・仕事先,住環境に左右されよう。
ただ,老後を充実したものにするためには,団塊世代の男たちにとってかなりの決意が必要であろう。
それは男優位の男社会にどっぷりとつかってきたからである。
編者が冒頭で言う「定年を境に家庭内離婚や定年離婚あるいは定年妻休職があることをうかがい知ることができます。余白に追伸にそうした実情を吐露している女性が意外に多かったことです」が一番気になるところだった。
団塊世代の男たちは,これから老後の滑走路に入ろうとしている。
しかし,そのこと自体を避けようとしている人が目立つように思う。
肉体的な若さだけが世の中で生きられる大切なポイントように見えるから,老若男女ともそのことに狂奔し,金で外見を取り繕おうとしいるように見えるからだ。
エッセーの中で,夫婦の老後がうまくいっているものいきそうに思えるものは,男たちが妻を思い,家族を思い,お互いを理解し合っていることにあるように思う。
気になるフレーズは,男に対するものを中心に抜粋した。鈍感な男たちが気付くかどうかは,5年後,十年後の熟年離婚の増加を見ればわかるだろう。

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