今週のおすすめ本 |
ブック名 |
快適田舎暮らしのすすめ
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著者 |
信太一高 |
発行元 | 双葉社 | 価格 | 1470円 |
チャプタ |
@田舎暮らしを選んだ人々 A田舎暮らしの方法 B田舎暮らしの愉しみ C田舎暮らしの雑感 D田舎暮らしのための資料集 |
キーワード | 土,至福,自然の時間,田舎という空間 |
本の帯 | 「田舎暮らし10年のベテラン信太君のこのコノ本には「田舎暮らしの極意」がある! |
気になるワード ・フレーズ |
・自分が自分のために時間を使って忙しいのは楽しいことです。会社勤めがお金を稼ぐための忙しさからは嬉しさと喜び,楽しさを得ることができます。 ・流した汗が美味しい食物を作るんだ!オレは農作業の奴隷ではなく畑の演出家だ ・なぜ植物や動物が人の心を癒すことができるのか?ひとつには彼らが生物として持っている「自然の時間」を共有できるからではないか ・人間は物を求め過ぎていないだろうか?求めすぎると自分の持っている自然の時間が少なくなり,心に余裕がなくなるのではないだろうか?つまり「ゆとり」がなくなる。 ・動物や植物は,ほとんど生物として最低限のものしか求めない。求めないから「自然の時間」がたっぷりあり「ゆとり」がある。そのゆとりが人の病んだ心を癒してくれているのではないか。 ・夫婦で共有する時間と一人で過ごす時間を相互に持つことが田舎暮らしを,より意味深いものにしている。 ・広い空間をゆったりした時間を所有できる田舎暮らしは人を変える。 ・土いじりは子供の頃の泥んこ遊びの延長線上にあり,土と戯れるとき,気持ちの解放感と感触の心地好さがたまらない。土にはわれわれの個々を癒してくれるパワーがあふれている。 菜園を作り,土をいじり,育て,収穫し,それらを食べることは,自然と立体的に付き合うことになる。リンクしている空中,地上,地中のエネルギーに人間の労力を少し添加して野菜を作る。農的暮らしが心地好いと感じるのは,その人が自然のリンクの中に入っているからであろう。 |
かってに感想 |
都会生活に慣れてしまい,スピードと時間に追われる忙しさが当たり前のように体の中にしみこんでいる現代人。 50代を迎える前から,いままでの自分の人生は何だったのかと,忙しさの中でポッカリ空いた時間にふと考えるようになった私に,これからどんなことを考えておく必要があるのか,そのヒントを与えてくれた本である。 まず,田舎暮らしを選んだ人たち9名が登場し,実体験の報告から始まる。それぞれ選んだ第二の人生の場所,その暮らしへの入り方,きっかけはいずれも違うが,「自然の時間」「土に溶けこむ」人間の姿がそこにはある。 まえがきで「大きな空間の中で,新鮮で美味しい食物と空気で健康を保ち,自然の中で自由に自分のために生きていくことは,素晴らしいことだと思う」と筆者が言うように,「自然の時間」で土いじりをしながらの生活がどんなものかは,このフレーズで十分すぎるほどわかる。 特に土いじりをしながらの野菜作りは,私自身も楽しくてしようがないからまさしくそのとおりだと思う。 このおすすめ本には田舎生活をする上でのキーワードがある。「助走期間」「野菜作り」「運転免許証」。また,田舎暮らしのための趣味の選び方というのもある。野外で楽しめるもの,室内で楽しめるもの,個人で楽しめるもの,そして多人数で楽しめるもの,ただこの条件を満足する趣味となると,3つぐらい考えておかないと無理である。どっぷり浸かった無趣味の会社人間にとっては,180度ものの考え方を変える必要があろう。 さらに田舎暮らしの愉しみとして「土をいじる」「自然の恵みを食べる」「自然の中で趣味を楽しむ」の3つの世界から,より具体的な楽しみの紹介がされている。一度にはとても無理だが,自分なりの助走期間を設け,まずは好きなことから始めればよいのではと私は思う。 田舎生活は,「心を癒してくれる」「心地好いと感じる」「至福」「幸福」「ゆとり」「ゆったり」そんな言葉が多く出てくることからも,新世紀にふさわしい古いようで新しい生活,「心の豊かさを求める21世紀」のフレーズどおりの生活ということではないだろうか。 |