今週のおすすめ本 |
ブック名 |
散骨代とお駄賃を残しておきます
(副題)たった一人の老後を強く明るく生きるコツ |
著者 |
岡田信子 |
発行元 | 主婦と生活社 | 価格 | 1470円 |
チャプタ |
@たった一人暮らしでボケてきたら A老後の現実 B老後のきびしい経済事情 C生きがい究極の原動力 D終(つい)にそなえて |
キーワード | 老い,一人暮らし,徘徊,食住,ボケ防止,ボランティア,笑う,スキンシップ,病 |
本の帯 | 「これは老人たちの赤裸々な人生のドキュメントだ」たった一人で老後を生きていかねばならない中高年の誰もが抱えている不安−痴呆,病,さらに孤独と友情,恋愛,金銭,衣食住−の問題。考えるほどにそれは不安と恐怖へと変っていく。 |
気になるワード ・フレーズ |
・亡き両親と同じように大往生したい。人様に迷惑をかけずに死ねたら本望だ。少なくとも最低の迷惑ですめたら ・島国根性というのか,どうしてこうも日本人は自分の“グループ”以外とは心のふれ合い,お茶いっぱいの関係すら拒否するのか ・日本人独特の傾向で同じようなオシキセの老後にいいことを右向け右でやることだけは,私自身はさけたい。 ・軽いスキンシップの日常化がどんなに人の気持を和ませることか。特に年をとった肩や背中や手足は人の温もりの電波をよけい感じるもの |
かってに感想 |
はじまりは老いの醜さ,汚さにショックを受ける筆者のこんなシーンから。筆者がボケ老人とは気づかぬまま徘徊(?)してウンチの場所を探す老女に出会い,公園の木陰に案内する。 ここまではいいのだが,気を遣い後始末のティッシュを渡そうとすると,いきなりその老女から「チカチカ・・」と言われウンコを顔になげつけられる。汚物を飲み込み,顔はクソまみれという。なげられた本人は臭気と屈辱感で一刻も早く自宅に急ぐが,体が思うように動かない。 ようやくたどりついた自宅で自分が直接痴呆老人を目撃したことにショックを覚え,あんな風に自分がボケたらどうしようかと思い悩む。この日(65歳の誕生日)を境に筆者にボケの徴候がでてくるというものである。 人は老いるに従って日常の中で予想していないショックをうけると,突然にボケはじめるという話はよく聞いたことがある。 ボケにも初期,中期,末期とあり,最終段階では徘徊症状が悪化し,ついには寝たきりになるという。もっとも寝たきりになれば徘徊がなくなり,看病する側からすれば助かるのであるが,当の本人は全く何をしているのかわかっていないから,人はボケたくないし家族に迷惑をかけずに死を迎えたいから,「嫁いらず観音様」がもてはやされるわけである。 50代からは5倍速と筆者がいうように老いに向けての準備は早い方がいいし,ただ予想しないことが発生した場合たえられるかどうか。筆者のように自立し一人暮らしで頑張っていても,老いることボケることの不安があるのである。 文中に浮いた話が織り交ぜられているが,筆者は年以上に若くて魅力的な女性ではないかと思われる。 また,読み進めるにしたがい筆者の65年間の人生で生き方を考えなければいけない経験を幾度としていることに驚く,自分の回想を交えながら語る内容には「人間かだれしも予想しない転機をむかえることがありうることを覚悟しなさいよ」といっているようでもある。 ボケ症状,ボケ退治法,ボケやすい人,人それぞれの生き方,実例,老後の生きがい等,人生経験豊富でいろいろな危機を乗り越えてきた筆者の言葉は実に重みがある。 老いの性を考えると,日本人はヘタだがスキンシップの大切さ,そして「何事にも感謝の気持ち」これは自分自身でも大切にしていきたいものである。 |