ブック名 インターネット的
著者 糸井重里
発行元 PHP新書 価格 693円
チャプタ
プロローグ:なぜいま!インターネット的なのか
@イーターネット的−「リンク・フラット・シェア」する生き方・考え方
Aイーターネット的でどうなる?
B工業化社会からイーターネット的社会へ
Cイーターネット思考法
Dイーターネット表現法
Eイーターネットの幻想
F消費のクリエイティブを!
エピローグ:「イーターネット的」時代のゆくえ

キーワード 消費イメージ、独特の工夫、インターネット的、ネットの外の人、お皿にのせる料理、おすそわけ、無名性、遊び感覚、答えのない問題、魂、どんなものを書くか、アイデアの実験場
本の帯
ほんとはやさしい情報革命
「ほぼ日」に毎日、何十万もの人が集まるのはなぜ?IT論の常識を覆す。インターネットの本当の書

気になるワード
・フレーズ

・一見、不要な情報からのつながりに可能性を見出せるということが、「リンク」という考え方にあるのです。
・分けあうということは、なぜかは知らねど、楽しい、と。その「シェア」(おすそわけ)というよろこびの感覚がインターネット的なのです。
・実は、情報はたくさん出した人のところにドッと集まってくるんだ、という法則があるのです。
・フラットというのは、それぞれが無名性で情報をやりとりするということが考えられます。情報のやりとり自体に意味があるので、そこではそれぞれのポジション、年齢、性別、価値などの意味が失われているわけです。
・たくさん出す人、いっぱいサービスする人のところに、いい情報が集まってくるのですから、みんなよろこんでもらうことを、完成形など待たずにひっきりなしに提供していくことが、いい情報を集める方法でもあるのです。
・ほんとうのアイデアとか、知恵とか、自由とか、くだらないことかが、ネットの世界の外側にはもっとたっぷりあるのです、きっと。

・そういう「くだらなさを含めた人間の遊び感覚」が、人類全体の知的資源として、まだまだネットの世界の外にたっぷりと眠っているはずなのです。
・問いがあったら答えがすぐ近くにある、というクイズのような問題ばかりを、いままでのメディアは取り上げてきましたが、実際の人間たちは、答えのない問題についてしゃべったり考えたりする場を求めているのではないでしょうか。
・「おおぜいとひとり」という関係は、これからのインターネット的な社会では普通になっていくだろうと考える。
・新しいビジネスモデルがどうしたとか、ソリューションでサクセスでネットでマーケで創業者利益でゴーゴー!みたいなことをいくら知っても、それは集金についての 方法論であって欲望やら消費やらについて語っているものではないのです。売りたい側にも買いたい側にも「イメージ」を生み出す力がなくなっているのではないでしょうか。

・「消費のクリエイティブ」「使うことの豊かさ」についての想像力がすっかり衰退してしまっているから、お金だけが無理やりに流通させられているけれど、誰もわくわくしないし、楽しそうに見えないのですね。
・まず、自分自身の欲望が、あるのかないのか。それはどんなに豊かなかたちをしているのか。誰によろこんでもらえるのか。そんなことが、ビジネスモデルの発見より前に必要なのだろうと、ぼくは考えています。
・みんなして「一億セールスマン」みたいになっていっても、売れない。消費の場面をこそ、クリエイティブの視点でとらえなおさなければならないのです。
・すごいなあと思わせる作品には必ず、作者の幸せ観があるものだと、ぼくは感じています。
・企業のページが総じて面白さに欠ける理由は、「企業」というものも持っているはずの「世界観」やら「人間観」「幸せ観」ひいては「商品観」などが表現されていないせいかもしれません。
・これからの時代は、大きさは別にして、あらゆる場面で立候補しないで生きていくことが、困難になるのではないでしょうか。どっちの道に行きたいのか、何がいやで何がしたいのか、・・・自分なりに生きるための「軸」として持っていないと、他人とリンクしたり、他人の協力を得られたりできないでしょう。
・自分はほんとは何がしたいんだろうか、と、みんながちょっとずつ考えるだけで、あちこちに面白いように風穴があいていって、すっかり呼吸がらくになりました。

かってに感想
やっとインターネットの活用法がわかったような気がする。
なぜかというと、同世代で同時期にパソコンを購入し、さらにホームページを開設した。
筆者もそのパソコンを、それまでは全く使用していなかったのだ。
私と違うのは、有名人でアイデアが豊富でいろいろな人脈もある。さらに、コンテンツも素晴らしくアクセス数も桁が全然違う。でもフラットなネット世界では、全然関係ないことなのである。
現実に私がネットの世界で付き合っている人には年齢とか性別とか職業を意識したことはない。
この辺は、私の好きなように勝手な解釈である。ご容赦をください。

筆者は、有名なコピーライター、40代になり、つくる側の人間として得意な仕事を確保して、いわゆる「偉い人」で生きるか、貧乏で野心的な職人で生きるこの二つの道しかないのか、そういった危機意識を持つところからスタートする。
この「インターネット的」世界で生きていく道を見つけたのである。それも無限の広がりが見えてきたようなのだ・・・。
それは、次のフレーズ「ぼくにとってインターネットは、いま言ってきたようなとりとめもなく考えてきたことを、すべて突破するように見えました。雇ってくれる人の顔色を見ないで全力を出せるし、何よりも自分でメディアを持てるし、 ・・・同じような思いを抱えている人々の気持ちを集めることができる・・・」でよくわかる。

この本を読んでひとつ感激したことがある。それは、「クリエイティブ」ということに対して全く同じ考えだったということだ。
「『創造性』と訳すよりも、日本語で言うとしたら『独特の工夫』だとか、『いままでにない何か』だとか、『発想しつづけようとすること』だとか、『そのままにしていられない気持ち』だとか」これなのだ。おわかりいただけるだろうか。
逆に気になることが一つあった。
それは、インターネットを三つのキーワード(リンク・シェア・フラット)でとらえ、そのフラットなインターネット世界に競争という場を持ち込んでいるということだ。
確かに新しい価値を生み出すためには、フラットな場での競争は大切なことだと思う。
やはり、コピーライターとして激しい競争の中で生きてこられた筆者の発想なのだろう。

競争がないことにはいい発想は生まれない。これも事実だと思う。
ただ、筆者が情報化社会の次に来るのは魂の世界だと言うのなら、競争・スピードとか効率化を追いかけていたのは20世紀までなのだ。
21世紀は競争を意識しない、こころの豊かさを人々は求め、しかも、インターネットは未連係の人たちとの新しいネット世界のツールなのだというなら、なおさらそう思うのだが。
この本には、たくさんのいいフレーズがある。とにかく書き出してみる。

アイデアこそが価値の中心、もっと伝えたい、もっと受け取りたい、まだまだ足りない「くだらない面白さ」、にぎわいをつくる、お金がなくても何度でも実験ができる、
いまのメディアがずれている点、「わけのわからないこと」を考える機会、信頼はインターネット的の出発点、
「考える」を開発コストに入れる、受け手なくして送り手なし、消費にどれだけ「クリエイティブ」になれるか。
これらのフレーズだけでも、ホームページ作りに十分役立つこと請け合います。
いずれにしても、インターネットってなんだろうと本当に知りたい方・インターネットでHPを開設して何かを発信したい方には是非一読をお勧めしたい。
おわりに、熟成させていないアイデア・情報をどんどんHPの世界へ送り出し、わがHPがさらに充実したものになるようにしたいものである。

・定年・チャレンジリストへもどる