今週のおすすめ本 |
ブック名 |
俺たちの老いじたく (副題)これからは好きなように生きる |
著者 | 弘兼憲史 |
発行元 | 祥伝社 | 価格 | 1365円 |
チャプタ | 序章「本当にやりたいこと」の見つけ方 @今から始めても,充分間に合う A”親鳥を待つ雛”になっていないか B「女は卒業」してはいけない C粋に老いるのは,案外簡単だ Dこれからが,とことん夢中で遊べる E「中年太り」を気にしなさい 終章:桜の下の一年坊主 |
キーワード | 女性,粋,自立,素,今 |
本の帯 | もう充分,走ってきた今日からは「人生を楽しむ自分」を見つける!「部長島耕作」の作者が語る,自分なりの”老い”の探し方 |
気になるワード ・フレーズ |
・いきなりライフスタイルを変えろと言われたら,何をすればいいんだとほとんどの50代は戸惑うだろう。でも簡単なのだ。・・・・日々が充実するための仕事なら,雇用に依存しなくても得られるし,低賃金にも耐えられる。そのことに気がつけば,定年後の生きがい探しはそれほど難しくない。 ・清貧もいいだろう。それも自分の内部に独自のモノサシを持つことだ。 ・人生はいくらでも自分の手でドラマを作れるわけだ。・・・50歳は中間点に過ぎない。10年準備して始めたことが,ほんものになる可能性は大いにある。 ・ダメでもともと,そう思えれば,ダメ人間なんていないことがわかるから,落ち込む必要もなくなる。プライドや見栄はこの際,捨ててしまおう。人生はやったほうが勝ちなのだから後半生はそのダメっぷりを楽しんでしまうぐらい,したたかになりたいものだ。 ・生きているかぎり性があり,性があるかぎり恋がある。50代で「女は卒業」というのならその理由を教えてほしい。 ・後半生の趣味はトータルとして大きな目標になるようにする。そのほうが満足感が得られやすい。場当たり的にいろんな趣味を食いちらすよりも最終的には大きなことをやったという気分になれる。 ・足るを知り,自然に生かされ,死を恐れず,とき至れば,辞世の句を残して逝ったのが昔の日本人だ。利に狂奔し,自然を破壊し,死を知らず,恐れながら死んでいくのが大方の今の日本人だろう。 ・貧富や地位の差,うまくいった前半生も,ままならなかったそれも,みんな関係ない。今こそ自分は自分なのだ。比較するものが一切ない心の世界をゆったり楽しむ。それがこれから歩いていくべき境涯だろう。 |
かってに感想 |
「サラリーマン島耕作」かっこよすぎてほとんど私には縁がない。 といいながら,その漫画はいまだ,読んだことはないのだ。 同世代の筆者が書いたということ,題名の中に「老い」という言葉があることから読むことにしたのである。 最近よく読む本のキーワードとしては,老いとか,死生観とか,人間とか,定年等であるが,定年予備軍自身が「老い」について書いた本は,まだ書店にはほとんど並んでいない。 まだ,若いという意識と死を考える年でもないからと思いつつも,ダンディな部長島耕作が老いを考えるのだから,読んでみようかと手にとる団塊世代が多いかもしれない。 筆者のこの作品は「老いじたく」とあるように,当分まだ生きているという前提であるから,過去読んだ一世代・二世代違う筆者と違い,平和な時代を生きてきた世代はこういった考え方からしか入れないのだろうと思う。 きっかけ作りとなるフレーズが多すぎて,結局どうすればいいのか,著者本人はダメでもともといいながら,失敗した話は全然ないのである。 団塊世代は,終身雇用企業の中で,組織の目標にひたすら尽くしたきたサラリーマンだから,部長島耕作に理想を描きながらも,それはほんの一握りに過ぎないと思っているのだ。失敗をいつも恐れて,ひたすらまじめに生きてきた世代なのである。 気になる三つの一語がある。「素」「今」「粋」であるが,この言葉を含むフレーズ「肝心なことは,どんな面白い『今』も,いつか過去になっていくということだ。そう考えると,人生で大切なのは,50代なら50代の『今』・・・が一番面白くなるように生きることだ」 「老いの心構えは身一つの強靭さ,生きる上での素に戻ることから始まる」には,地域社会へ出てもどうも企業戦士の延長でその中心にならないとだめという思想や,常に勝ちを意識したものが見え隠れしてしかたがない。 組織の中で金太郎アメみたいに生きてきて,さらに人のやることを気にして生きてきた世代にとって,定年後は企業戦士の鎧をはずし,人生に勝ち負けはないのだから,百人いれば百人の定年後があっていいのだとわりきることだと私は思うのだが。 |