今週のおすすめ本


ブック名 定年の身じたく
(副題)生涯青春!をめざす医師からの提案
著者 石川恭三
発行元 集英社文庫 価格 450円
チャプタ
@生きがいを再発見する
A人づき合いで10倍幸せになる
B上手に若々しく歳をとる人
Cこころを愉しく定年を待つ

キーワード 好奇心、肩書き、感性、婦唱夫随、年相応、助走、楽しみ方、プラス思考、自立、去り方
本の帯
インターネットマーケティングの実施方法がわかる・・・


気になるワード
・フレーズ

・肩書きがついている間は、ある程度の余裕を持って年下世代ともつき合えるのですが、定年を 迎えて肩書きを失ってしまうと、頑なさは加速度を増します。
・俳句や川柳、短歌や詩などで自分を表現することは感性を磨くことにほかなりません。 ちょっと散歩に出た際に目にした風景を俳句に詠んだり、子供や孫に対する思いを川柳にしたり、 出来映えなど気にせずに、思ったまま、感じたままを言葉にすればいいのです。
・現役時代はまだ、自分が携わっている仕事に対する好奇心が求められる局面がありそうですが、 仕事から離れてしまうと、とたんに好奇心を向ける対象がなくなってしまうことは少なくないのです。

・四六時中、亭主がいることを考えただけでも奥方たちの憂鬱度は急上昇します。 そのことを理解し、彼女たちの居場所以外のところに自分の居場所を確保する。
・日本の社会、特に男の社会は地位や学歴、経済状態、家庭環境などが人間の評価の背景になるという ことがあります。
・失われたものは再生不可能、もう取り戻すことができないと潔く諦め、残っている機能に感謝するという 姿勢を持つことが重要です。

・私が考える病気とのつき合い方の基本はこういうことです。「甘く見ない、重く見ない」
・定年以降も、過去の栄光、最盛期の生活を続けたいと悪あがきをしている人がいます。 これは甚だハタ迷惑だしみっともない。
・「愚痴をいう人の周りには、人は集まってこない」
・子供の頃から思い描いていた夢の実現に着手したり、組織の中ではできなかった、本当にやりたい 仕事にチャレンジしたりといったことも大いなる楽しみになります。


かってに感想
老いに関して医師が書いた文庫本を2冊買った。
先日紹介したのが「老いの盲点」である。
そして、もう一冊は、すでに、定年を迎えた医師が定年前の準備段階で書いた本が、この本である。
「老いの盲点」に比べ、第二の人生は「楽しい」ことがあるが、 それなりの準備と、老いへの戒めの言葉が多く盛り込まれている。

どちらがどうなのかということはない。
私自身は、それなりに自分に合うところもあるし、自分に合わないところもそれぞれある。
いずれにしても、私のような凡人は、定年と言われてもあまり構えていない。
それなりに年をとっていくのだろうと思っている。
だから、適当に自分がいただけるところだけというか、都合のいいところだけをいただこうという、 トンビ派なのだ。

まずは、いただけるところを書こう。
それは老いへの戒めの言葉である。
「肩書きから解放されよう」である。団塊世代は、長年同じ職場にいれば、 それなりの位置を占めている。
ここちよき地位にたいてい居る。

このここちよき地位から離れた時に、では長年ほったらかしてきた家庭でその位置を占められるか というと、それはあきらめた方がいいということ。
もちろんOB面をして、組織にまだハバをきかせようなんて思わないこと。
特に家庭では婦唱夫随に切り替えること、大賛成である。
ただ、私の場合、いまでもそうなっているのだが。

そして、「子供は老後保険ではない」である。
ついつい金を投資してきたから、当然親の面倒を見てくれるだろうなんて思わないことである。
一番いいのは、つかず離れずだと私は思っている。
ただ、その前に私の場合、二人の子、特に息子には一日も早く自立して欲しいと思っている。
もっとも思えば思うほど、離れていかないから困ったものだ。
そのかわり娘はどんどん離れていく。
思うこととは逆になるとはよく言ったものだが、でも思い続けたいというのが、ホンネである。

もうひとつある、それは「足るを知る」である。飽食の時代、物質的に豊かな時代、だからこそ、 余計にそう思う。
ただ、これは過去そのような生き方をしていない限り無理なのだ。
人間の欲には、際限がない。
ただ、老いていく(ボケてくる)人々は、それぞれどれかひとつの欲が かなり突出してでてくるように思う。
もちろんすべて出てくる人もいるようではある。
毎度書くのだが、私が気になるのは、「性欲」である。

少し気になることがあった。
まずは、組織からの去り方である。
「印象に残る去り方」とか「座を譲る美学」 というのがあるが、私の場合、ただ去るのみでありたい。
時が過ぎれば、その人間がやってきたことなんて、風化してしまう。
ましてやスビード時代、人間関係が希薄な時代だから、風化がさらに早くなっているのだから。
歴史に名を残せる人物なんてのは、ほんの一握り、あとはその他大勢なのだと、思っておけばいい。

そして、「三つの自立・・・経済的、精神的、日常生活上」の中で、筆者は経済的な自立を言うが。
私は、日常生活上の自立である。
団塊世代は、まだそれなりに金の面とか、こころの面ではいい方ではなかろうか。
やはり、すべて家庭・子供を妻任せにしてきた、家庭での日常生活での自立が 一番だと私は思っている。

もう一つある。
定年後のことを語っている人が、こんなことを言っている部分である。
「こんな楽しいことはないと思うんですよ。いま考えているのは、これまでほとんどしたことがなかった 妻との旅行を年中行事にすること・・・」
大きな勘違いをしていると言いたい。

いままでほったからしにしていた妻がえらい迷惑であること 間違いなしだ。
妻は、すでに夫から離れ、遊びとか趣味の部分では、それなりにともだちの輪が できているのだ。
もちろん旅行の輪もである。
だから、思っているなら定年の前から やっていないと、「いまさら何よ、お好きにお一人でどうぞ」と言われるのが関の山なのである。

おわりに、すでに定年を迎えた筆者の意味深なフレーズを載せておきたい。
「定年後の生活は、現役時代に想像していたより、はるかに単調で孤独で寂寥たるものです」である。
このフレーズを読んで、第二の人生をいまから(50代から)考えるかどうかは、貴方自身の問題なのだ。



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