今週のおすすめ本


ブック名 絵を描きたいあなたへ
著者 永沢まこと
発行元 講談社 価格 1575円
チャプタ 序章:絵を描きたくてたまらない気持
@絵を描くこと,私の場合
Aでは絵を描きましょう!
B線で描くとうまくなるわけ
C海外旅行でスケッチする
終章:絵がうまくなる三つの法則
キーワード 線,自由,旅,透明人間,風景,スケッチ,実物
本の帯 絵が描ければ,旅が変わる,人生が変わる!人気画家があなたの手をとって教えてくれる,絵を描く楽しみ,道具の選び方,うまくなるテクニック
気になるワード
・フレーズ
・もしあなたが今まで一度もいたずら描きをしたことがなかったら,さっそく今から始めてください。どんな紙きれでもかまいません。何を描こうなどと考えず,好きな音楽でもかけながら,ただボンヤリと描くことです。
・アニメーションでは,キャラクターを立体的に動かすために絵を球体のあつまりとしてとらえています。・・・いちいち線に気持ちをこめて引いても,キャラクターはうまく動きません。アニメにおいて,線とはキャラクタをカタチづくるものであるばかりでなく,キャラクターに動きを与えるための効率のよい機能の役割をもっているのです。
・どうやら,「絵ごころ」とは自由への欲求のようです。かけがえのない自分の人生を,自由に生きてみたいという切実な思いが,かたちを変えてあらわれるかもしれません。
・これから描くあなたの絵は,線描きが中心ということになります。ですからペンが一番大事な道具です。
・なにを描くときでも,原則として「実物」のモデルを見ながら描くこと。小さな品物でも,動物でも,人間でも,あるいは風景でも同じです。かならずそのものをあなたが直接眺めながら,紙に描くことを習慣にしてください。
・実物モデル選びになれてきたら,少しずつ,あなたが好きなもの,描いてみたいものを選ぶようにするといいと思います。好きなものとか,いつも親しんでいるものは,カタチをよく知っているものです。
・まわりに,人間の「実物」モデルがいない人のために,いい方法があります。私がよくやっている方法で,テレビを使うのです。
・あなたがこの本を読んで「線」から絵を始めるということは,絵の根本に基づいていることですから,とても自然なことなのです。「線」によってこそ,あなたの「絵ごころ」は解き放たれていくはずです。
・絵を描くようになると,なぜか旅に出たくなります。それも遠い国へ。見知らぬ土地で,ひとり静かにこの世のすべてを忘れて描いてみたくなるのです。絵を描くことでこそ味わえる悦楽です。だから絵ごころが湧いてくると,旅ごころも誘い出されるようにして出てくるでしょう。
・なぜ外国はかくも絵を描く気持ちをそそるのでしょうか?そのわけは,誰でも外国へ行くと透明人間になれるからではないかと思います。
・風景を描く場所を選ぶのには,とにかく歩いてみることです。名所だとか,有名な建物だとかなどにはこだわらず,「ここがいいな」と思えるところを「直感」できめることです。これは,お見合いと同じようなもので,第一印象が大切です。先入観には頼らないことです。名所だから描こうというのは,お見合いの相手の学歴や容貌がいいから選ぶようなもので,描いているうちにすぐ倦きてしまうものです。
・さて,「ここがいいな」と思ったあたりに腰をおろし,早速スケッチにとりかかります。風景を描くというと,すぐ構図をきめなければならないと考えがちですが,いまは構図のことはあまりに考えずに描くことにします。下描きもいりません。
・絵がうまくなるための方法を,3つに絞ってみますと,その1,何を描くときでも「実物」を見て描くこと。その2,何を描くときでも「線」でカタチをとること。その3,「色」を塗るときは理性を捨て,心をひらくこと。
・「実物」を直接見て描くことは,もの作りにたとえれば,常に原料から作るということです。どんなものでも原料から作るというのはメンドウなものです。絵を描く場合でも,メンドウを避けたいために,つい記憶や想像で描いたり,人の絵のマネをしたり,ありきたりの描き方ですませようとします。しかし,それでは原料ではなくすでに誰かが手を加えたものの助けを借りたことになります。
・「実物」とは「実物」というカタチをとった,この世のまぼろしかも知れないのです。「絵を描きたい!」という私たちの衝動は,生きていることを保証しているかのように見える。この確かそうで不確かな「実物」を,せめて自分の手でつかみ,その正体を確かめてみたいという動機から生まれてくるのではないでしょうか。
・何かをかくそう「実物」とは,あなたをとり巻くこの世界そのものであり,「線」とは,そこを生きるあなたの主体性そのものであり,「色」とは,あなたの持つ感性そのものであるということを。
・作品のよい所を見てくれる他人の存在というものは,上達していく上で,何よりの励ましになります。絵を見たい人は,あれこれ批評めいたことを言ったり,欠点を指摘したりすることが多いものですが,そんなのは相手にせず心して「ひとりだけファン」を見つけ出すことです。
かってに感想 3年前,書店で買いたいと思いながら,なぜかふんぎりがつかなかった。
自分の中に,もう少しいい絵を描きたいという気持ちがあったのだ。
しかし,その時はもっと興味のあること,インターネットでホームページを開設することであった。
ホームページを開設してから3年以上過ぎ,そのネタの中には,キャラクタ・動画・少年時代の遊びの絵,いずれもアニメーションという世界である。ふと自分の好きなことはとよく考えてみると,やはり絵なのだ。
ところが,色づけには全く自信がない。赤緑色弱というのがハンディキャプだとず〜っと思っていた。
でもやっぱり描きたい。そんな時,よく通う書店でこの本に再会したのである。
何か筆者を他人のような感じがしない。読み始めると,次は次はとワクワクしてくる。ひさしぶりに感性がぴくぴく動いているのを感じた。
筆者のスケッチが盛りだくさんなのもとてもうれしい。多くのフレーズに勇気づけられ,早速スケッチ道具を買いに文房具店に出向いた。
早く描きたい,ワクワクだ。
刺激フレーズが多くある。いつものごとくそれは気になるフレーズに譲りたいが,特に刺激的だったのは,デッサン力や遠近法や構図や下描きなど意識しないで「どんどんいたずら描きの精神ですすめ」ということ。
筆者自身,絵というものを正式なものとして学んでいないが,「ひたすら実物を描きなさい」と言うことであり,その実物のスケッチに迫力を感じながら加えて感心しながらうずうずとしている自分がいるのだ。
刺激的だったワードをとりあげてみよう。
「透明人間」「線」「実物」「直感」「絵ごころ」「ほんとの自由」「透明水彩」「ペン」「光と影」。
その言葉に「うれしいなうれしいな」という少年のような気持ちで感じている自分がいるのだ。
思わず本に頭をさげてしまった。
「私のアニメのひとりだけファン」である,猫(SORA)の絵を描き続けているメールフレンドのことを思い出している。
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