少年クラブ記録
(ネーミング)★★薬箱★★
(コメント)
▲貧乏が当たり前の時代,10円の小遣いもなかなか自分には回ってこない。
▲だから,遊ぶことも,いろいろ工夫する。どちらかといえば体力を使い外を走り回ることが主体であった。
▲駆けずり回れば必然よくけがをする。擦り傷,切り傷。そんな怪我をしたとき母はまず水で洗いなさいと言う。
▲そして,おもむろに薬箱から塗ると真っ赤になるヨードチンキを出すのだ。
▲この薬箱は,富山の薬屋さんが定期的に訪問してきて,使用状況に応じて補充してくれる。
▲この薬屋さんは,たわいないものなのだが,いつも何か土産物を置いて帰る。よく覚えているのは,三色の紙風船であった。

(ネーミング)★★盥と行水★★
(コメント)
▲夏の楽しみは行水である。
▲木造りの盥の中に,水を入れ,庭に置いておく。
▲もちろんお天道様があたるところに置く。
▲夕方になるとかなり熱くなっている。
▲わたしたちの子ども時代は,自宅に風呂はなく共同浴場に通っていた。
▲だから,夏の天気のいい日には共同浴場へ行かなくても,行水ですませたのである。

(ネーミング)★★麦藁帽子★★
(コメント)
▲松崎しげるが歌った唄に,歌詞が黄色麦藁帽子の・・・で始まる,歌があった。
▲夏の炎天下に外出するとき,かならず母から「帽子をかぶっていきなさい」といわれたものだ。
▲帽子といっても,麦藁製である。
▲頭がむれない,さらに縁が大きいので影がかなり広くなる。
▲とんぼとり,魚釣り,蝉とり,いつでも麦藁帽子にランニングシャツにサンダル,半ズボン。
▲これがこの時代の少年の夏の定番の服装であった。

(ネーミング)★★虫かご★★
(コメント)
▲「虫かご」最近の虫かごは,極めて細い針金のようなものでできている。
▲一昔前は,竹製の虫かごだったのだ。
▲その竹の香りと手触りで,もう虫がすでにこの中に住んでいるような気になったものである。
▲入り口の小窓の作りに感心しながら,昆虫を捕獲しては,自分の獲物として虫かごに入れる。
▲ひとときの狩人の気分を味わうと・・・
▲夏休みの課題提出のための昆虫採集時は別として,昆虫を観察したり,動きを楽しむと,また虫かごの外に解き放つのである。

(ネーミング)★★うちわ★★
(コメント)
▲うちわといっても用途はいろいろある。
▲もちろんあおぐ機能なのだが。
▲最近,使われない用途に,七輪の火おこし,そしておくどの火おこし,お風呂焚きの火おこし。
▲そのうちわは最近のものよりかなり大きく,火おこしにふさわしい赤色だった。
▲それから母のやさしさを感じたのは,蚊帳のなかに入って寝るとき,私たちが眠るまでうちわであおいでいてくれていたのだ。
▲ああそれに,盆踊りのツールとしてはかなり使われていたかもしれない。
▲最近の用途はというと,ちょっとした涼とすし作りで酢とごはんを交ぜ合わせるときぐらいだろうか。

(ネーミング)★★蚊帳★★
(コメント)
▲まさしく字のとおり,蚊を寝床に入れないために,蚊帳を天井からつるすのである。
▲蚊帳はこの用途だけでなく,落雷よけにも使われていた。効果は疑問だが。
▲寝る時にこの中に入るのが楽しみであった。
▲すそをそっとめくり,蚊を入れないように入るのである。
▲あるときは,穴ぜみを蚊帳の中に入れておき,羽化するのを観察するのだが。
▲眠たくて最後まで見ずに,翌朝成虫になって飛び回る蝉にきゃーきゃーというのだ。
▲時には,網に顔を押しつけ,言ってる本人も怖いくせに「ユウレイが出た」なんていうのである。

(ネーミング)★★蚊取り線香★★
(コメント)
▲50年以上生きてきて,本当の献血も10回以上したが,蚊への献血量の方が累積すると多いかもしれない。
▲蚊にかまれていることに気付いてパッチンする。このタイミングでは,すでに献血は済んでいる。
▲しばらくするとかゆくなるのだ。
▲蚊取り線香というのは,いつごろからできたのだろうか,蚊帳をしなくなり,新兵器として登場。
▲あの渦巻き状を考えたのは,だれだろう。
▲あの青白い煙で蚊が目を回して落ちるから不思議だなあと思いながら。
▲パンツ一丁で寝ていた蒸し暑い夏の日,一晩で丁度一渦巻きが済むのもよく考えられたものである。

(ネーミング)★★木製盥と洗濯板★★
(コメント)
▲ほのかににおう木の盥は,てざわりがとてもいい。
▲ほんの40年ほど前には,炊事・洗濯・掃除・・・は女性の仕事として実に厳しいものであった。
▲盥と洗濯板を使用して,毎日洗濯物をこすりよごれをとる。水の使用も実に合理的である。
▲急激に進んだ電化は,長時間かがんだ姿勢で行うこの洗濯作業から女性たちを開放したのだ。
▲波線の入った洗濯板に苦節の後が刻まれているようである。
▲若い時代にこの労働に耐えた世代が,40・50代に新しい生き方を見いだし,そしてなかなか死ねない長寿時代に,老いの生き方を模索している。

(ネーミング)★★きなこ餅★★
(コメント)
▲餅を焼いて食べるのにふた通りあった。
▲ひとつは,しょうゆに適当に砂糖をとかす。
▲そのさとうじょうゆに焼いたもちをつけて食べる。
▲もう一つは,焼いた餅をさ湯につける。
▲きなこに適当に砂糖を混ぜ合わせる。
▲やわらかくなった餅を取り出し黄粉をまぶるのだ。
▲いずれもそれなりにおいしい。だからきょうの焼きもちはどうやって食べようかと悩みのタネになるのである。

(ネーミング)★★白黒テレビ★★
(コメント)
▲小学生の頃,テレビというものが出回り始めた。
▲でも,一般家庭ではとても買えるような値段ではなかった。
▲見たい,見たいがどうする。当時の子供たちは,テレビを買った家に見せてもらいに行ったのである。
▲それは,父が勤める製紙工場の南側にあった養鶏場を営む家であった。
▲もちろん,ただではない。
▲母にせがんで,10円をもらって,それを大事そうに手に握り,ワクワクする気持ちを押さえながら,18時前頃に家を出ていくのだ。

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