読み感
  • 木村 尚三郎作:ご隠居のすすめ
隠居ということば自体が陳腐化している。世の中高齢・少子化時代を迎え、サラリーマンなら定年(55歳)を迎えても20年以上の人生がある。昔の隠居さんと言えば、息子に財産を譲って悠々自適の生活を送ることと定義されようが、家も買えない、年金も危ない、健康保険も破綻、定年後の生活にいい話、見通しがたたない。会社では上がつかえ(老獪な隠居しない人間がいっぱい)、いつ出向さされるかわからない。ローン抱える身にはその日の生活も危うい状態なのである。
はっきり言って団塊世代にとっては死語といってもいいだろう。
サラリーマンの定年は55歳から60歳に、さらに第二の就職で65歳となろうとしている。筆者は伊能忠敬が50歳で隠居したことを意識しているのではないだろうか。
「物、時間、情報から自由になりなさい。」いわゆる流行り言葉で言えば「人間もある時期になれば規制緩和をしなさい」ということと理解すれば、結構面白い。
21世紀は大移動の時代、自分の居場所を2つ持っているのは21世紀的な生き方。自分自身をふりかえるための自分の時間をもつためには、ごく自然に2つの住居をもつことなのかもしれない。そういった意味から単身赴任というのは、孤独感はあるが、一人の人間として過去、現在、将来を考えるいい機会なのかもしれない。


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