読み感
  • 和田 秀樹作:老人を殺すな!
人は年老いていずれ死を迎える。日本はいま長寿国家と言われているが,21世紀はさらに超高齢少子社会となる。ただ,いまの若者のファーストフード指向からいってこの世代が長寿を全うするとは思えない。
この本では老人とは75歳以上の人をいうが,今の日本社会では60歳を過ぎれは,一括老人という定義で同じような医療が施されて,本当の意味での老年医療が確立されていないというものである。
自分の祖父,父母の寿命を考えれば見当はつくが,実際のところ自分自身がどの程度まで生かされるのかはわからない。したがって,この本で言う老人の域に達しない現在,自分のこととしてとらまえることはむつかしいが,寝たきりになった母を見ると,この本の中には,老人についていままで間違って理解していたことや新しい知識として得られるものがあった。
まず大学病院に老人科と言われるものがあり,名ばかりで老人の研究がされていない。メディアではきんさんぎんさんのように元気な長寿は歓迎され,なぜ長生きをしているのか,食事か環境かといったことが敬老の日の前の頃になると話題になる。
痴呆について誤解していたことがある。それは老人が突然わけのわからないことをしゃべったり行動したりした時,一括痴呆としてかたづけてしまうことはまちがいだということ。初めて聞く病名だがほとんどの場合,せん妄やうつ病が発展したものに該当するらしい。さらに痴呆は早期発見より遅ければ遅いほどよいというものなどである。


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