読み感 |
・世紀末現象として、人類滅亡論が多く飛び交う現在、地球の歴史をひもとき、 巨大化し限界に達する地球上での人間圏、一人一人の人間はどうあるべきかと いう生き方が示されているような間がする。 ・この書は、哲学科出身で日本文化研究者の梅原氏と惑星物理学者松井氏とが 相互に理論を展開する形式で話は進んでいく。 ・オゾン層破壊、地球温暖化、酸性雨等の環境問題、60億人になろうとする 人口問題とそれを支える食糧とかエネルギー問題も、地球システムと人間圏の 関係性の問題として全部同じ枠内に見えてくるという。 ・内容には、プラトンやアリストテレスの哲学論、恐竜絶滅説、物質の基本的 な粒子、文明論、文学論、あの世、墓、脳死論、知的所有権等とかたくむつか しい話から比較的興味深く理解しやすい話まで実に面白い。 ・松井氏は大きな壁にあたっている人間圏の未来を築く第三の道は「ある程度 の人間圏を肯定し、欲望というものも肯定した上で、次にどういう選択がある かを考えていかなければなりません。人類がその生存の基盤に置くのはフロー に依存する農業的な文明だと思います。」というように農業的な発想の必要性 を説いている。 ・さらに、「宇宙と自然の掟を破り、欲望を肥大化させる人類に未来はあるか 。」と本の帯にあるように、欲望をいかに抑制するかであり、その考え方とし て、「『レンタル思想』、具体的には所有という概念を否定し、代りにレンタ ルつまり借り物という考え方に立つということです。」を展開している。地球 環境を壊し続ける人類にとって、肥大化させている欲望を急激に変化させるた めには、私は特に先進国のライフスタイルを極端に変えないかぎり解決しない もんだいなのかもしれないと思っている。 |