<<萩焼:三輪休雪の世界>>

しゃべり人

ポイント


〇語り
▲十三代
三輪休雪
□十二代
三輪休雪

〇十三代三輪休雪。今、40kgの土の塊で花入れを作っています。繰り返し叩いて押し続けた土の塊。
▲私の表現方法においては、刀で切る、削ぐ。削ぎ跡、断ち跡とかそういうものに限りない魅力を感じているわけです。
〇十代休雪・・・柔らかな白「休雪白」を生み出した。十一代・・・土の塊を日本刀で断つという手法を初めて用いる。 茶陶の世界に衝撃を与えた。十二代・・・蓮に抱かれた龍人。萩焼の枠に納まりきらないエネルギーを感じます。 十三代・・・大自然の厳しさと神々しさを表現しています。
〇十三代が4年前から取り組んでいるシリーズ「エルキャピタン」の茶碗。狭い茶室の中で緊張感を持って、 人と人とが対峙する茶の湯。そのことを思ったとき、ふと心に浮かんだのが、昔見た巨大な一枚岩でした。
〇23歳のとき、アメリカに入学。
休みの日に出かけた「ヨセミテ国立公園」そこで出会った「エルキャピタン」(1000メートル) その障壁は深く心に刻みつけられ、後に茶碗作りの着想を得ました。
▲土の側にも自然になりたい形がある。中途半端な気持ちで臨めば、土が刀を弾き返してくる。ここを切ってくれ。僕が一方的に作用していくっていうことじゃなくて、土もそれによって反応する。 お互いに作用とか反応とかを繰り返す。
▲釉薬というのは焼き物にとって被膜。水を漏らさない用途がある。私は特に白い釉薬だからできることだと 思うんですけど立体。釉薬も立体である。釉薬が流れた跡が形として出てくる凹凸。 流れそのものも大事な要素である。ただ色として残るのではなくて、形として立体として残る。
〇十二代休雪」(十三代の兄)。龍人伝説「蓮華図」十二代が最も重要なテーマとしてきた「死」が モチーフ。二つの棺に横たわる黄金の骸骨「古代の人王墓、古代の人王妃墓」自分自身と妻を古代人にとして 見立て、何千年は後に掘り起こされた亡骸として表現。十二代は「死」を誰しもが訪れる到達点としてとらえている。 パリで行われた展覧会では、十二代の作品は現代アートの傑作として大いなる驚きをもって迎えられた。
□三輪家伝統が云々と仰るけど、三輪窯の伝統なんて別段何もないです。もしあるとするならば、 やっぱり何かをやろうとする情熱でしょう。私は伝統の中で何が一番大事かって言ったら、自分自身を突き動かしてくるもの、 そういうものがあるかないかの問題です。