**********禿頭考****************


最近のニュースに出会い系の事件が多く出てきますね。
ただ、私の場合、外見が勝負の出会い系の世界は、いかがなものかと いうより、勝負は見えています。
禿で坊主頭の私では太刀打ちが出来ますまい。
いかがですかえ。
でも世の中、禿は精力が強くスケベエとか申しますが、
「清水ちなみ」なる三十路の女性が「禿頭考」
という本を出しております。以下が私のその本の「読み感」です。

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清水ちなみ作:禿頭考

差別語かどうかは別として,とにかくそのものずばりの題名である。
世の多くの日本人男性は,ハゲで悩み,8割の人に有効というはげに効く薬◯アップが,
爆発的に売れたのは一昨年のことである。密かなブームは今も続いている。

「これでやっと思う存分ハゲについて語ることができます。 いま私は喜びにうち震えています。 ハゲに目標を定めて6年,この6年間,ハゲという字を目にするたびに武者震いしてきましたが ・・・」これは本の書き初めのフレーズである。
このフレーズを冗談でいっているのか,笑いを誘うために言っているのかは,
読むに従いだれもが理解できるだろう。

読んだ人がまず感ずることは,世の若き女性がハゲに厳しいことと,
ハゲの二文字が1ページに最低10個以上,ページ数の337で単純に計算すると 3千個以上にのぼることだろう。
さらに,ハゲは遠くはアリストテレスの時代から, ハゲの原因説は数あれどいまだ解明されていないことに気付く。

さらに,「ハゲはスケベ」というちまたに流布されている フレーズも根拠のないことに気付くだろう。
さらに,さらに,このエッセイを書くのに過去の多くの毛やハゲに関して 書かれた本を参考文献にしていることに,筆者のなみなみならぬ努力を知るだろう。
ただ,気になるのは,これで筆者が考察する「禿頭考」の求めるべき難題−ハゲは すけべ−の答えはそれなりには見いだされているが,それに満足されているのだろうか。
それを考えると気になってハゲテきそうだ。
いやすでに私は禿げているから「つるっぱげ」になりそうだ。アーメン。
といいながら,各チャプタの見出しの美事な表現に感心し,
結婚も終えて老いのハゲでもう第三者的な私は,最初から最後まで興味津々,
クスックスッと笑い,ただ回りに気づかれないように読み続けたのだ。
詳細は気になるフレーズに任せるとして,多くの面白い, いや深刻なフレーズがあるが,えウッソーというような話を少し抜粋してみよう。

「ルイ13世は,若ハゲで23才から全頭のカツラをかぶり,
ゴマスリ貴族が真似をしてやがて全ヨーロッパに広がった」
「バッハさんのあの肖像画はカツラをかぶってるんだ」
「戦前の教育のことですから,道鏡はきっと称徳天皇をたらし込んだすけべ坊主, エロハゲとして,子どもたちに教育され続けたに違いありません」

「愛はハゲに勝つのですね」
不思議なことですが,この本を読み終えてふと他人から「ハゲ」
という言葉を聞くとなぜか心地よく聞こえてくるから不思議です。
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*********佐藤B級事件***************

帰宅すると家人がこんな事件の話をし始めた。
佐藤さんという男の人が妻を殺したという。
そしていきなり「私を殺さないでという」のである。
「それがどうした」
「その佐藤さんの境遇があなたによく似ているという」

佐藤さんは、長年単身赴任生活をして定年を迎えた。
当然次のステップとして退職金で、いろいろと何かを しようと考えていたのだろう。
その退職金をきれいさっぱりいわゆる根こそぎ妻に 取られたのである。
それが耐えられず、奥さんの首を絞めて、ところが 奥さんが太りすぎてなかなか首が絞められなかったという。
でも、やっぱりよほどうらんでいたのだろう。
とにかく首を絞めて殺したのだ。
「金の切れ目は縁の切れ目」

確かにシチュエーションは酷似している。佐藤さん、単身赴任、 そしてそのまま定年、ただ似ていないのは家人は太っていない。
家人に一言「金がいるなら半分はあなたに権利があります。 全部取ろうとしないこと、でも一番危ないのは太りすぎることですよ」




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