今週の気まぐれ本

 

ブック名

空海に学ぶ仏教入門<その4>

著者

吉村均

発行元

ちくま新書

価格

800円(図書)+税

チャプタ


@空海の生涯
A伝統的仏教理解へ
B苦しみを減らしていく段階
C苦しみを根源から断ち切ろうとする段階
D空を体験した者に現われる世界
E言葉を超えたさとりの境地が直接示される段階
F終章:道としての仏教
 

キーワード

師から弟子、灌頂の目的、曼荼羅の荘厳、認識メカニズム、行為の連鎖、ゼロではない、仏の眼、心の認識、、

 

本の帯(またはカバー裏など)

苦しみから離れることができないのは、欲望のままにものを追いかけ続ける心のあり方にその原因がある

かってに感想(気になるフレーズ)


空海の本の著者は、多くが僧侶である。
しかし、この入門書の著者は少し違うようだ。
だからなのか、実に分かりやすく解説してくれているのだ。

「密教は、言葉を超えた境地をダイレクトに師から弟子へと伝える教えです」
「師はすでに言葉を超えた境地を体得している必要があり、弟子をその境地に導き入れて一時的に体験 させるのが、灌頂の目的です」
「第一の本能のままの住心から、次第に第九の住心に進んで来ると、 心の内と外に付着していたよごれもすっかり精錬されて、私達の心に本来そなわっていた 曼荼羅の荘厳がようやく開くのです」

「仏教は私と私が捉えている対象をリアルに感じる私たちの心の認識の メカニズムに苦しみの真の原因を求めています」
「輪廻とは、一つの行為はそれで完結せず、それによって次の行為が引き起こされていく 行為の連鎖のことです」
「私たちの生もゼロからいきなり始まったわけでなく、また死んで突然ゼロ になってしまうこともないと考えます」

「自己中心的な私たちの視点をより広い視点から捉えなおすための教え、 輪廻や因果応報、仏の眼を意識して自分のおこないを反省することなのです」
「欲しいものが手に入らないから苦しい、嫌なものをなくすことができないから 苦しいのではなく、それを欲しいもの/嫌なものと捉える私たちの心の認識の メカニズムに苦しみの本当の原因がある、それが釈尊が発見したことでした」
「よいもの/悪いものがある・・・ 単に仏教の教えを聞いて信じるだけでは何も変わらず、私たちの物の見方を変えていく必要があります。それが修行です」