今週の気まぐれ本

 

ブック名

やきもの随筆

著者

加藤唐九郎

発行元

徳間書店

価格

1500円(図書)+税

チャプタ


@やきものの見方のうつりかわり
A土から窯びらきまで
Bやきもの東と西

  

キーワード

民芸、実際的な側面、土有神、焔、考えること、用を目的としない、禅宗、はちきれる人間性

 

本の帯(またはカバー裏など)

高雅の士の遺芳が読むたびにいい気持にしてくれる

かってに感想(気になるフレーズ)


「加藤唐九郎」から派生してこの本を探した。
古いが十分に新鮮味があった。
特に民芸運動創始者柳宗悦、その論理展開の矛盾指摘は面白い。
さらに、知ったかぶりで特定の陶器をほめちぎる輩を論破するところは、もっと面白いのだ。

「茶器の名物と称するものは、ほとんどみな民芸である」(柳宗悦)
「やきものの観賞も、やきものの技術的な工程や、そのやきものが作られた社会的・経済的な背景、つまり、 やきものの実際的な側面を知らないと、とんでもない誤った解釈をする場合が少なくないということです」
「1.焼き、2.土3.細工」

「人無心、土有神」
「やきものは”焔の芸術”である」
「やきものの真髄は、しょせん焔をいかにしてとらえるか、というに尽きます」

「陶器で”考えること”ーそれをなしとげた者はパブロ・ピカソである」
「ピカソの陶器は、用途をもたない。用を目的としないのである。それに彼の陶器の新しさがある。見るだけのもの、鑑賞するだけのものである」
「西行・宗祇の風雅、雪舟の絵、利休の茶・・・これらの芸術は、禅宗が生んだ芸術であると同時に、禅のきびしい修道の中で、 抑えられた人間性を捨てきれなくて、はちきれるように人間性がとび出して昇華したのが、これらの芸術ではなかろうか」