今週の気まぐれ本

 

ブック名

加藤唐九郎

著者

加藤唐九郎

発行元

祥伝社

価格

1800円(図書)+税

チャプタ


@生い立ち
A青春の彷徨
B個人作家をめざす
C伝統に徹する
D『陶器大辞典』編纂
E永仁瓶子焼成・中国旅行
F戦中戦後
G文化芸術使節団・日ソ工芸展
Hやきもの三昧
  

キーワード

目指すものと売れるもの、さびたもの、心弱く、造形、いい作品、感性の発露、他のこと、変化することがない、偶然の結果、百曲り

 

本の帯(またはカバー裏など)

自伝:土と炎の迷路

かってに感想(気になるフレーズ)


陶芸家による陶芸道の本はなかなかない。
特に失敗談を淡々と書いているもの。これは世間一般有名人なら特にそうだ。
名誉欲のある人なら、まず書かないと思っている、だから読んでいて面白い。

「私の目指す”いいもの”と、売れるものとは必ずしも一致しない」
「私の思ったような”さびたもの”を作ることは結局商売にはならなかった」
「人は、心弱くなった時にはじめて神に対して、敬虔な気持ちを抱くことが出来るものなのだろうか」

「『陶芸』という言葉を、最初に使ったのは私だが、まだ造形芸術の一分野というような観念も一般化されて居らず、 手びねりの茶陶などを作りにかかろうものなら、”押しぼこ焼き”と一緒にされて、窯屋仲間からは馬鹿にされたものだ」
「自分たちのやっている職人的技術の熟練だけで、いい作品を生み出そうと思ってもだめだ」
「素人で力のすぐれた者には、・・・たとえ稚拙な部分があろうと、その人間が持っている『感性』の発露がなくてはならぬ」

「他のことに時間を取られれば取られるほど、私は土が恋しくてならなくなるのだった」
「ピカソは、陶器に施された彩色が鮮やかなまま変化することがないところに着目した。・・・百年たっても作家が 描いたままのイメージを正確に伝えてくれるものだったからである」
「陶器作りは、土と炎の性格の融合による偶然の結果がなせる業であるとしか思われない」
「百曲りの道を百曲りするのが真直ぐ進むことであることを知らされた」