今週の気まぐれ本

 

ブック名

途方に暮れて、人生論

著者

保坂和志

発行元

草思社

価格

1400円(図書)+税

チャプタ


①「生きにくさ」という幸福
②老いることに抗わない
③家に記憶はあるか?
④想像力の危機
  

キーワード

空虚さ、退屈、楽しいこと、漠然としたこと、役立つ、実現できていない、記憶の引き出し、死と老い、比較できない独自性

 

本の帯(またはカバー裏)

希望と可能性という考え方は、「時間とともに進歩する」という信仰に乗っている

かってに感想(気になるフレーズ)


インタビュー形式で読んだ著者の考え方が面白かった。
というのは、「考える」ということに対して、極めてシステム的なのだ。
著者の違う本を見つけこの本を読んでみたいと思った。
「普通の人の人生というのは、密度ではなく空虚さによって実感されるようなものではないか」
「人生で用意されている時間はいつも退屈で、それを見ないために人は楽しいことを探しつづける」
「何も現実的な課題を設定せずに今の状態にどっぷり浸って、漠然としたことばかりを考える」

「老人になってもなお”役に立つ”ことが求められるところが、結局、老人を役立たずに追い込む効率優先の社会の発想なのだ」
「実現できるはずなのに実現できていないことの解決方法を考える方がずっと難しい」
「人生とは、生きた時間が長くなればなるほど、記憶の引き出しが重くなったり斬新なアイデアが出にくくなったりするものである」

「『死』と『老い』について考えることは、文化の核のはずで、そこに最も豊かな思考が息づいているのではないだろうか」
「人は芸術作品に没頭しなくてはならない。作品には独立した世界がある」(フルトヴェングラー)
「そのプロセスは愛と呼ばれ、評価や比較は対極の行為です。愛は比較できない独自性のあるものだけを大切にします」(フルトヴェングラー)