今週の気まぐれ本

 

ブック名

老人の死と品格

著者

武田専

発行元

元就出版社

価格

1890円(図書)

チャプタ


主なチャプタ
 @人の一生はわからぬものである
 A百聞は一見にしかず
 B定年の悲哀と江戸っ子の義侠心
 C老人の鬱、光速より速い異空間
D知ったかぶりと恥の文化
 

キーワード

追憶、成熟、快、持続的に、出歩く、賦活、道先案内、生の始め、死の終わり

 

本の帯(またはカバー裏)

老いと落語

かってに感想(気になるフレーズ)


 自分史の中に落語や老人の鬱患者との話を織り交ぜたエッセイである。
ところどころにある人生の先輩としての道しるべや先人の辞世句になるほどと思えるものがあるのだ。

「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く 死にしに死に死んで死の終わりに昏し」(空海)
「それまでに経験してきた事を頭の中でゆっくり考えることは楽しい追憶であり、苦い思い出とあい混ざって、 死もまた成熟の結果として受け入れられる」
「人間の幸福とは、自らが『快』と感ずることを持続的に実行することである」

「右利きの人は、右脳が快と感じなければ、論理的な左脳は作動しないという」
「とにかく出歩かないことには話にならぬ。この世に背を向ければ視野もせばまり、まわりが見えなくなって 自分だけの世界に閉じこもり気力も萎えてくる。歩くということは気力を賦活させることである」
 「虚空尽き 衆生尽き 涅槃尽きねば わが願いも尽きん」(空海)
「悲と魂で 行く気散じや 夏の原」
「老人の品格というニュアンスはわかるが、往古のような集落の道先案内という重要な役割は消失してしまった」