今週の気まぐれ本

 

ブック名

老いのかたち

著者

黒井千次

発行元

中公新書

価格

798円 (図書)

チャプタ


 @病気待ちの列
 A友を送る−これも同窓会
 B老い遅れに気をつけて
 C「普通高齢者」がイチバン
 D<冷や水>とのつきあい方

キーワード

老年の木、歳を取れない、年齢イメージ、澱んだ淵、老い心地、生命の自然

 

本の帯(またはカバー裏)


「かつてのようには歳を取りにくくなった昨今の老人は
どのように日を過し、何を考えたり感じたりして
どう生きているか」

気になるワード
・フレーズ


省略

かってに感想


私の少し前を行く先輩老人のエッセイである。
老いは静かにやってきているが、若さがいのちの現代社会では、邪魔でしかないようだ。
70歳を過ぎれば、もうゆっくりでいいはずなのに、なぜか枯れることが許されないように見える。

「老年期には老年の、老いに特有な美しい木の実があっても少しも可笑しくない筈だ」
「バランスの保持が難しくなったのは、老人の気持ちが老人の境地に安住しにくくなったからだろう」
「人が歳を取らなくなったのではなく、人は以前のようには歳を取れなくなっていると 認識すべきなのだろう」

「人が歳を取れなくなってしまったことは我々の必然ではあるのだが、それを喜んだり それに困惑するのではなく、その事態を一つの可能性として捉え、そこから新しい年齢 イメージの構築へと歩み出せぬものか、と老いの中で夢みている」
「老いたる一年は、時の流れの澱んだ淵に近いのかもしれない」
「人が老いていくことを自然であると認め、その時間を共有してくれる人間が周囲に いてくれる時にのみ、老人は快い<老い心地>を満喫出来るに違いない」

「老いを拒み排斥しようとするのではなく、生命の自然としてそれを受け入れようとする 立場もある」