<<陶芸家:加藤清和さんのメッセージ2016.10月2日午後8時ETV放送発信>>

どんなこと


<<1.生い立ちなど>>
@陶芸家:加藤清和
A京都出身46歳
B2016年日本伝統工芸展「奨励賞」受賞
C受賞作品「藍三彩1607」
D江戸時代から続く、織部焼の家に生まれた

<<2.新技法のナレーション>>
@見るものをはっとさせる鮮やかな三彩の器、「藍色」「黄色」「白」。釉薬の垂れる長さと滲む幅などをすべて細やかな計算によって作られたものだと言います。 一体どうやったのか、作者のもとを訪ねました。
A三彩は、奈良時代、中国唐から伝わった技法。垂れ下がった緑や黄色の釉薬が特徴です。焼き物の中では、低目の800℃ほどで焼かれ、ぼやけた色目をしています。 それに対して、加藤さんの三彩は、鮮やかな発色。鍵は1200℃の高温で焼くことにありました。

Bある一定の温度に達すると、溶け出す釉薬を開発しました。それによって垂れる幅や色の混ざり方をコントロールしています。例えば これは「藍色」になる釉薬。ちょうど1180℃で溶け出します。窯の温度が1200℃まで上がる直前、1180℃で溶け始め、 5cmほど垂れ下がる計算です。これは、1150℃で溶け始める「黄色」の釉薬、藍色の釉薬より速めに溶け始めるため、 その分だけ幅はより長く8cmほどになる計算です。さらに「黄色」と「藍色」が滲む部分を作ります。グラデーションの幅1〜1.5cm。


C自身をもって断言する加藤さん。さて、その結果は?真ん中の黄色い線は狙った通り8cmほどの長さ、藍色も計算通りの5cmほど、 そして「黄色」と「藍色」も見事に滲んでいます。なぜ思い通りの効果が出せるのでしょうか?秘密は、工業製品などに使われる「ガラスフリット」 ガラスの原料になる様々な石を高温で溶かし、冷やして粉にしたものです。

D「ガラスフリット」は一度溶かすことで、成分が安定するため、溶ける温度や粘りけなど、求める効果を作り出すことができます。 加藤さんは実験を重ね、独自の「フリット」を20種類以上開発、釉薬に混ぜて自在に色と文様をコントロールしています。 こうした作り方には、意外な経験がかかわっていました。一時期、陶芸から離れていたのです。学校卒業後、親のもとで家業を手伝い ましたが、一年でやめてしまいました。

E家を飛び出し、化学品メーカーに就職した加藤さんは、フリットガラスの仕事を担当。その時の知識と人脈が今の陶芸に生きています。

F経験をバネに生み出されたニュータイプの「三彩」オリジナルな発想が伝統に新たな色どりを加えました。

<<3.本人のメッセージなど>>
@普通の三彩ですと、温度を上げて焼くと薄くなったり、淡くなっていく。それをさせないために、自分で開発した釉薬によって、 色が飛ばないようになった。鮮やかに。
A自分が思っているできあがりのイメージがあるのですが、それに合わせた分量を乗せている。どれだけ動くかわかっているので自分で・・・。
B嫌で逃げちゃったというか。あの・・・。この家に生まれたから、これをしないといけないのか。その当時は、普通に嫌でしたね。

C自分なりのアプローチでなぜそうなったかを探っていく。そういう作業は常にやっていますね。たまたまなったというのは、あまり好きではない。何を作っているかわかりたいので・・・。