〜〜 (床擦れパート1:H9.11.1記)〜〜

医学的には褥瘡(じゅくそう)(圧迫性壊疽)という。局所の皮膚が圧迫され、 血行が悪くなると起こり、不潔で湿り気が多く、栄養状態が悪いと、さらに悪化する。
場所的には臀部、腰骨のあたりにできやすい。
母の場合、腰骨のところに3箇所あり、3カ月の病院生活で悪化したらしい。

エミ姉ちゃんの努力で2箇所はふさがり、完治しているが、 もう1箇所はエミ姉ちゃんの努力にも関わらず、完治の見通しはない。
先日新しく訪問看護に来た人に、「2つの床擦れがつながる可能性がある」 と言われたのに腹を立てていた。過去の経過も知らないで、 悪い方へ悪い方へのマイナス面しか言わないことに腹がたったらしい。

また、この看護婦さんは自分の母親は特別養護老人ホームに預け、この仕事をしている。
なぜかと言えばとてもわがままな母の 面倒はみえないし、 自分の自由が奪われるのを嫌がってその選択をしたらしい。
こんな面からも自分で自分の家族も看ないものが、 一週間に一度来て、毎日家族を介護する立場に立てるはずがないと。

ただ、高齢者福祉が進んでいる国では、自分の親は自分でみるということではなく、 社会全体でみるというのが主流である。
エミ姉ちゃんのように日本人の考えの中には、 人の世話にはならないという意識と、 近所の目をいまだに気にしなければならないという事情がある。
急速な少子高齢化時代を間近にひかえ、 そんな事情も吹っ飛びそうな時代を向えようとしているわが国の、 現在の政治レベルの低さでは新施策の実行はまだまだ期待できないと言える。

むつかしいことはそこまでにして、床擦れはやはり早期発見、 予防が大切であると医者も言うが、言うほど簡単ではないし、 一旦なると完治は困難である。
ものの本では、予防法として、@2時間毎の体位の変更A枕、クッション、 円座などの利用Bエアーマットの使用とあるが、 「現実は厳しい」とはエミ姉ちゃんの弁である。




〜〜 (床擦れパート2:H9.11.8記)〜〜

床擦れは母の場合、腰骨のところに3箇所あり、 1箇所だけいまだにふさがっていないと前回書いたが、 当初はそのポッカリ開いた穴から治療のたびに膿が出ていた。
いまそんなことは全くないが、 毎日ガーゼに生理食塩水をつけ洗浄するのがエミ姉ちゃんの日課として続いているのである。

ある日この床擦れ治療について、訪問看護員の方から、 「このぐらいの穴になると手術しないともう治らない。手術してはどうか」と言われたのだ。
もともと母の床擦れは病院に入院したことにより悪化した。
それを直すためにまた、入院しなければというのはどうも変な話なのだ。

病院の看護自体が細かいところまで行き届かない実態、 老人ホームには入れない老人の面倒をみている病院の現在の役割から、 寝たきり老人のリハビリまでの体制を確立している病院は少ないという実態があり、 3ヵ月たてば次の病院へたらい回ししているのが現実なのである。

母は退院後しばらくは床擦れを痛がっていたが、 いまは完治とまではいえないまでも痛みを訴えることもなくなっている。
手術に耐えるだけの体力があるか等を考えると、かならずしもベターとは言えない。
週に一度来てもらう町医者先生もその点では賛成してくれている。




〜〜 (床擦れパート3:H9.11.15記)〜〜

最近、エミ姉ちゃんは床擦れのことが気になっている。
ガーゼに生理食塩水を付けて床擦れを消毒するのが日課となっているのであるが、 そのガーゼが一段と奥の方へ入り、出したときには膿ではないが汁が付着しているのだ。
床擦れには適度に体を動かすことが大切なのであるが、 母はパーキンソン病を抱えている関係から、体は硬直し小刻みに手が動く。

エミ姉ちゃんの力仕事でしか寝返りを打たせられない。
完治することなど考えられないが、気になる床擦れのことを、 月1回訪問してくれる〇〇病院の先生に相談をもちかけることとしている。

私は母を訪問したとき、「元気か!!」と声をかけるのであるが、 前回訪問時の母の返答は、「きょうはええ」というめずらしいものであった。
いつもなら「えらい」「つかれている」「うるさいのー」「しゃべるのがたいぎい」 とかが返ってくるのであるが。寝たきりの母にとって、 「きょうはええ」とはどういうことを意味するのだろうか。




〜〜 (ショートステイ:H9.11.22記)〜〜

特別養護老人ホームで一時的に預り、ナイトケアなどを行なうサービスであり、 原則 として期間は月7日以内である。
規約にはよく原則という言葉が使われる、 この原則という言葉があるために例外が発生し、現場業務従事者たちを苦しめるものが、 結構あるのはサラリーマンならよくご存じのことである。

しかし、ことこの福祉に関しては、介護するものがほとんど特定されていて、 介護期間も10年以上を経過している例は決して少なくない。
これも寝たきりになっても、栄養注射とか、長期間生命の維持が可能な時代になったからである。
倒れた人が元気に動けるようになるかどうかは、 最初に入院した病院の体制と本人の意思によるところが大きい。

介護する側からすればこの例外に頼らないとどうにもならないケースは、 よく発生すると思われる。
例えば介護する側のものが体調を崩し、7日以上どうしても預けたい場合、 介護者の証明書か診断書提出により認められることになる。
エミ姉ちゃんの近所の知人は、主人が倒れてから、 10年以上も経過しているが、最近になって介護する奥さんが体調を崩されている。

ではその交代者はというと、いないのである。
公共機関に頼らざるを得ないのが現状なのである。
7日以上のショートステイが認められる場合、介護者が病気をしない限りむつかしいとか。
一日も早い介護保険法の成立と、誰でも気軽に利用できる介護体制の確立を望みたい。




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