今週のおすすめ本


ブック名 戒名無用
(副題)死に方変えてみませんか
著者 島田裕巳
発行元 メディアワークス 価格 1680円
チャプタ 俗人戒名作成チャート
プロローグ:揺れる戒名
@戒名なんかいらない
A死者の名前
B戒名はなぜ必要か?
Cお寺さんの都合
D戒名にさようなら
E墓参り教
F戒名は自分で
エピローグ:お寺をどうすべきか?
キーワード 宗教,寺,戒名,葬式,墓
本の帯 戒名がいるなら自分でつけよう!日本初素人でも戒名がつけられる俗人戒名作成チャートつき
気になるワード
・フレーズ
・山折哲雄(宗教学者)は対談の中で、自分は墓を作らない主義で、葬式もせずに、焼いた灰は山野にまいてもらえばよく、戒名などいらないと主張している。
・また山折は、勲章好きの日本人が、それを死後の世界にまでもちこんだのが戒名で、それは”死後の勲章”になっていると分析している。
・葬儀も戒名も釈迦の教えにはなく、戒名料自体がおかしなことで、布施の相場は狂気の沙汰だと述べている。
・戒名は仏典に根拠をもっていない。にもかかわらず、日本で広く普及し、人々は戒名料や戒名のランクで苦しんでいる。そこには、日本仏教の問題点が集約されている。
・最近では、”無宗教式”の葬儀が増えているとも言われる。無宗教式葬儀とはいかなる宗教の形式にもしたがわない葬儀のことだが、要は僧侶を呼ばず、戒名も授からない葬儀のことである。
・戒名はこれまで”仏教徒の証”であると説明されてきた。たとえば、山田恵諦著の「葬式と戒名の付け方」という冊子では、俗界を 離れて仏門に入らせるためには、”戒”を授けることが必要で、戒名は戒を受けて釈迦の弟子になったことを示す永遠の法号だと説明されている。
・住職は故人についてほとんど知らないまま戒名をつけている。戒名が、仏教の教えとは関係のない死者の名前であるならば、故人のことをよく知らない寺の住職がつけるのはむしろ好ましいことではないのではないだろうか
・戒名は,仏の国に行くために与えられる名前ではない。それは故人の人生を集大成し,その生涯を讃えるための”死者の名前”なのである。故人の人生が反映された戒名は,現世の垢をそぎ落としたものではない。むしろ現世をそのままもちこんだものなのである。
・民法でも,897条において,墓は「慣習に従って先祖の祭祀を主催すべきものが,これを承継する」と規定されている。
かってに感想 まず、本の装丁を見て、読みたい気持ちが、ためらいに変わるかもしれない。
「戒名無用」という題名が、位牌の真ん中にどーんとあり、副題が死に方を変えてみませんかとある。
さらに、ページを開くと俗人戒名作成チャートがあり、流れにしたがって自分で戒名がつけられるのである。
人は、だれしも本名以外に別の名を持ちたいという願望がある。そんなエッセーを遠藤周作の本で読んだことがある。
その周作先生も「狐里庵」(コリヤン)という別名を持っていた。そういう私もよく考えてみれば、インターネットの世界で「ハンドル名」なるものを使用している。
しかし、戒名とは自分が仏になってから、その人間の人生も知らぬ坊主がかってに暗号のようにつけるのである。
この本は、自分の家族や親戚で葬式を体験した人で、葬式費用が高いとか,そろそろ死を意識し葬式や墓のこと考えている人なら、素直に手が伸びるアドバイス本といえる。
私の場合,自分の中でわだかまっていたものが、ふっきれた感じがしたのである。
無宗教で、自分の葬式を簡素に、墓もできればいらない、もちろん戒名も、骨も適当にといろいろ考えている人ならきっと何か得られるだろう。
でも現実には,簡単に割り切れない気持ちを持っている人が多いのではないだろうか。
また,いかがわしい宗教が幅を利かせているいま,戒名の由来、歴史、意味、他国の葬式・値段、寺と檀家をわかりやすく解説してくれているのも安心できる。
おわりに「戒名」に関して指針となるフレーズを気になるフレーズの中に沢山紹介しているが,一番決定的なフレーズをここであげるならば,「寺の墓地に墓を求めなければ,戒名をもらう必要もないし,戒名料も支払う必要もないのである。」

 いかがだろう。戒名とは檀家と寺という関わりが深かった時代の遺物だと考えれば物事は簡単に割り切れるのであるが・・・。
いずれにしても俗人戒名作成チャートは、自分史HPの中に入れるつもりである。
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