*** | インフォームド・コンセント | *** |
最近の報道ニュースには,病院で起こっている医師・看護婦のミスが,やっとオープンにされるようになり,多く出るようになった。 いままでは,医師はなぜかミスをしないもののように思われ,ほとんど情報が表には出ない時代が続いていた。 そんな中,妻の母が「インフォームド・コンセント」と書かれた書類をもらった。 その書類には,C型肝炎が進んで,レントゲンに三つの影が写っていると書かれてある。 義母は,さらにその影のあるレントゲン写真を担当の医師に見せられながら,「癌の疑い」という説明を受けたのだろう。 そもそもインフォームド・コンセントとはどういうことなのだろうか。 私の理解では,患者の病状をわかりやすく説明し,さらにその病状について,現在処置できる手術,その手術による再発・完治・確率・どんな手術等を説明し,患者家族が合意の上で手術をどうしますかということではないかと思うのだが。 本人はどういった形で同意したことになったのかわからないが,サインしたのかどうか,その日に入院日・手術日等が決められてしまったらしい。 もっともその日家族のだれもついていっていないのはよろしくないことだが。 人の命の決定は,誰の手にあるのか,自然に迎えられるものは別として,少なくとも人間の手がそこに介入しているのである。疑問に思わざるを得ない。 |
この言葉は,日本ではまだ新しく,1992年6月19日医療法改正案成立時に,付則事項として加えられたものなのだ。 それまで凡人は,患者の治療に関して医者先生にたてつくことなどできない状態だった。 医師と患者の関係は一方通行的なものではなく,少なくとも同意に基づいた平等な人間関係が望ましいということになったのである。 では,医者は患者にどんなことを説明する必要があるのか,以下がその内容である。 @症状を正しく伝える。 A治療に必要な検査の目的と内容を患者にわかる言葉で説明する。 B治療の危険性の説明 C成功の確立の説明 Dその治療処置以外の方法があれば説明 Eあらゆる治療を拒否した場合にどうなるかを伝える。 いずれ私も,説明を受ける側になることはまちがいない。 30年前の父のガンの時,家族の立場は,ただひたすら先生にすがるしかないというものであった。 今回,妻の母の場合の医師の説明は以下のとおりであった。 それでは,妻の家族とともに,主治医から受けた「インフォームド・コンセント」なるものを説明しよう。 説明は1時間に及んだ。MRIによる説明とガンの疑い個所,肝臓の二重支配を利用して動脈に造影剤を入れ,動脈と門脈の機能の差によってがんの個所を検査する話,肝臓の外科的治療と内科的治療のアルコール治療と電気的治療によりガン細胞をやく話。 さらに,検査後は,24時間絶対安静の話,そしてC型肝炎の話と。 懇切丁寧な説明を,写真,時には図を書きながら,わかりやすい言葉で説明をしてくれた。 一方,医療技術が進んだことでいままでわからずにすんでいたことが,わかりすぎるのもどうかと思ったしだい。 あまり意識せずに死を迎えていた時代から,悪い個所がわかるならまだ助かるのではと,余計に生に執着する人間の姿が見えてくる。 |